企業理念を考える その2

「お客様第一主義」の「お客様」のところを選ばなければいけないということを述べました。
同じようにスタッフも選ばなければいけないのです。
「採用の失敗は教育では取り戻せない」とも言います。
私の長い経験でも全くその通りだと思います。

語弊があってはいけないのですが、そもそも中小企業には優秀な人材は入ってきにくいという現実があります。
中小零細企業の経営者の中には「人の採用」を経営の最重点項目に位置させ、業績そっちのけで、そこにばかり目が行っている人がいます。
「社員が多い会社の社長が偉い」とか「社員数の多さは経営者の勲章」とでも勘違いしているのではないかと感じるのです。

いい人材を採用したいという割には会社が薄汚れていて、上から3分の2のレベルの人は決して入ってこないような雰囲気の職場があります。
人材の採用以前に、まずは会社を掃除することです。
会社をピカピカにしてこそ、いい社員もいいお客様も入ってくるのではないでしょうか。

優秀な人材は何も言わなくても勝手に自分で勉強します。
強制的に社員をセミナーに行かすのは百害あって一利「あり」といったところでしょうか。
良いスタッフがいると、経営者のモチベーションまでアップします。
逆に出来の悪いスタッフだと、それに皆が足を引っ張られることが多いのです。

具合の悪い社員がいなくなるとクレームだって減るし、会社の雰囲気もよくなります。
私も何度も何度もそういった経験をしてきました。
要らぬモノを捨て、気に入ったモノばかりに囲まれた生活は実に快適です。
同じように「やる気」のあるスタッフと一緒に働くと、がぜん燃えてくるのです。

30年以上前の話ですが、遅刻を繰り返す社員がいることに悩んでいたことがあります。
このことを一倉定先生に相談したら「1分でも1秒でも早く辞めさせるべきだ」とのお答えでした。
経営者には人を辞めさせる勇気も必要なのだと、その時強く思ったものです(すごく苦しい決断ですが)。

当社の企業理念は「働く仲間が物心ともに豊かになり、世の中の役に立つ会社を目指す」です。
「いい働く仲間と、いいお客様と、いい仕事」が実現できたら、この世は天国です。