企業理念を考える その1

若い頃は自分の経営に自信がないものだから、セミナーや勉強会によく出かけました。
それなりの成果もあり、また勉強仲間も得たのですが、そのための時間や費用も相当使ったことは事実です。
昔、ホンダ創業者の本田宗一郎が講師をするセミナーがあり、その時「こんなところに来る時間があったら、会社に帰って仕事をせよ。俺は一度もこんなセミナーに出たことはない!」と言ったそうです。

しかし私が今までまわりを観察してきた体験では、やはり色々なところへ勉強に行っている人の方が優秀な会社を築いているのは間違いがありません。
が、セミナーに行くと“ついつい”他社のいいところを取り入れたくなり、結果、余計な業務が増えるということにもなりかねないのも事実です。

どこかで業務や事業の見直しを行わないと、ムダな人や在庫や時間が増えるばかりとなります。
経営者は熱心だけど、従業員はヘトヘトというケースも少なくないのです。
それどころか経営者自身もヘトヘトになっていることがあります。

まずは経営をシンプルにすることです。
「会社という形態を使って、一体自分たちは何をしたいのか?」をよく問うてみるべきだと思うのです。
ちょっと大きく構えると「何を持って社会に貢献できるか?」を考えなければいけないと思うのです。

それがやはり企業理念ということになるのでしょう。
企業理念を持つと会社の方向がブレません。
また「どうしてこんな苦しいことをしているのだろう?」となった時のモチベーションの源泉にもなります。

「顧客第一主義」という理念があります。
この理念自体は全然間違いがなく、立派なものだと思います。
が、これを実践しようとすると、社員が心身ともにヘトヘトになるのです。
最初は分からなかったのですが、要は「顧客」のところを絞らなければいけないということに気づきました。

「いいお客様」に精いっぱいサービスするのは簡単なのです。
しかし「具合の悪い顧客」まで取り込んでしまうと、一気に会社自体がガタガタになります。
ここの見極めが極めて大切だと思うのです。