フランクフルトへの旅 その7

インターネットで調べると、目指していた書店の営業が朝9時半だったので、歩いて向かうことにしました。
店の名前は「フーゲンドゥーベル(Hugendubel)」。
9時半に着いたのに、まだ開いていません。
イタリアなら時間にルーズでも納得できますが、ここはドイツのはずです。

仕方がないから、しばらくそこら辺を回ってみることにしました。
十数分後戻ってみると、まだ閉まったままです。
さすがに変。
その時ハッと「イースター」の祝日であることに気が付きました。

昨日は日曜日で休み。
今日は祝日で休み。
日本なら大型書店が日曜や祝日に閉まっているなんてことはあり得ません。
今回の旅の目的の半分くらいは、この大型書店に寄って本を買うことだったので、ちょっとショック。

予定がボコッと空いて「このあとどうすればいいだろう?」という困惑と「わざわざ多大なお金と時間を費やして、自分は一体何をしているんだろう?」というチョッピリ暗澹たる気持ちとが混ざり合って、何とも複雑な心境。
フランクフルト自体には有名な観光地はそんなになく、パッと行くべきところが頭に浮かびません。

シカゴに仕事で15年在住し、今は東京で暮らしている知人が「日本の住みやすさをエンジョイしている」との話をしているのを聞いたことがあります。
アメリカに住んでいた人が日本のほうがずっと便利だと言っているわけで、ましてやヨーロッパだと数倍日本のほうが便利なのに違いありません。

日本人が当たり前に努力し、当たり前に享受している便利さが、ほかの国では当たり前でないことが少なくないのかもしれません。
言論の自由や治安も含めて、日本は世界最高水準の「住みよさ」なのに違いありません。
その「住みよさ」を、自分たちも一生懸命働くことによって支えていかなければいけないとも思いました。

会社というのは暮らしやすい世の中を作っていくための原動力です。
そういった使命が会社には必ずあるわけで、そのリーダーである経営者はその点をしっかりと認識しておくべきだと思うのです。
それが会社が世の中に存在するための「大義」でもあります。
今回の「大型書店クローズ事件」で私もまたそのことを強く認識できました。