「捨てる」大切さ

「整理・整頓・清掃」は仕事や生活の基本ですが、それをしようと思ったら、まずはモノを捨てるという作業をしなければなりません。
モノを捨てずに整理整頓をしようと思っても、結局モノを移動させているだけで、何らスッキリしないのです。

「捨てる」技術や考え方を書いた本は何冊も読みました(それらの本は書庫に入れ、一切捨てていないのですが)。
例えば服を捨てる時の「基準」を教えてくれた本がありました。
その基準とは、その服に「ときめく」か「ときめかないか」。
私もこの基準に沿って随分と服や靴を捨てることができました。

この「捨てる」という技術は、経営や人生にとっても非常に重要で、これが上手くできる人が「名経営者」や「人生の達人」になれるのではないかと思うのです。
会社というのは、長いことやっていればいるほど、事業や商品やシステムを「捨てる」のが難しくなります。
捨てなければならない分野で頑張っている人がいるからです。

ましてや過去の成功体験がある場合など、変化で出来るのは奇跡のようなものです。
携帯電話の出現により、ポケベルがあっという間に姿を消し、その携帯電話もスマートホンにとって代わられようとしています。
それぞれの商品の王者が、次の時代でも同じように王者である保証は何もないのです。
ノキアの苦境がそれを物語っています。

ある上場企業の社長をやっていた人の本を読んだのですが、自分が社長のバトンタッチを受けた時は赤字すれすれで、商品も1,000種類ぐらいを製造販売していました。
商品を3分の1に減らし、不要になった工場も手放したところ、ぐんと儲かる体質になったのだそうです。
ただし最後までどうしても減らし難かったのが「ヒト」。

大手企業でも、中小零細でも、人を「捨てる」のは極めて難しいわけです。
ならば最初から気安くホイホイと採用しないほうがいいということになります。
日本全体の雇用という問題はちょっと端に置き、いかに少数精鋭で最高の機能を発揮するかを考えなければなりません。
やはりそれはIT活用とアウトソーシング活用に尽きるのではないかと思うのです。