アメリカの不動産法

日本人で、アメリカでの弁護士資格を持つ人のお話を聞きました。
アメリカの法律は、連邦法と州法が二重になっているそうです。
逆に言えば、州の権限が非常に強いとのこと。
連邦法の守備範囲は決まっていて、国防や外交などの国全体に関する事項のみ。
刑法や税法や結婚離婚に関することは州法が規定します。
「州」というのは一種の国家的存在で、その辺が「県」とは根本的にコンセプトが違うところです。

アメリカの不動産法には、日本にはない制度があり、例えば夫婦間での共有。
一方が死ぬと直ちにもう一方に権利が移転するのだそうです。
不動産の契約から決済までの間には、ほとんどの場合エスクローが入ります。
契約金は決済までエスクロー会社が預かります。
契約から決済までに、別会社で瑕疵がないかを調査し、O.K.ならば所有権移転が行われます。
契約までの時点で1%ぐらいの預け金を納めるケースも多く、これはもし契約にならなければ返還されます。

契約を締結してから諸条件を詰めていくことも少なくなく、この辺は日本とずいぶん違うように思います。
相続における遺留分は配偶者のみで、5万ドルか、全財産の3分の1の大きい方となります。
アメリカでは戸籍の関係で相続人を特定するのが難しい場合もあり、遺言を書くのが普通のようです。
財産を日本とアメリカに別々に持っている場合は、それぞれの国の法律に従って処理するのが一番スッキリするとのことです。
裁判所は三審制になっていて、別々の州やアメリカと外国間で争う場合は、連邦裁判所になるケースがあります。

Binding(手付け)は1%で、refundable(返還可能)。
Contact(契約)ではDown payment(頭金)をEscrow(エスクロー)に預けます。
たまにAS IS(アズイズ)という契約内容があり、これは現状のままでの取引で、瑕疵担保責任は一切負いません。
つまりあとで文句は言わないということです。
アメリカの弁護士試験は2段階に分かれていて、まずは連邦での統一試験があり、そのあとで州法試験となります。
日本人はニューヨークかカリフォルニアで試験を受けるケースが多く、あまり田舎の州で弁護士資格を取っても、あとで活用しがたいからであります。