世界動向を見る その2

アメリカは富裕層への課税を強化しようとしています。
これはアメリカという国が本来目指すところとは違うはず。
アメリカは自由でダイナミックな経済が真骨頂であって、少しでも社会主義的な志向が入れば、アメリカンドリームは消えてなくなると思うのです。

アメリカの共和党は基本的には「ビジネスマンの党」で、小さな政府や経済合理性を重んじます。
政策的にはタカ派というイメージがあるのですが、意外なことに民主党政府の時に戦争が始まっていることが多いのです。
共和党のブッシュ元大統領のアフガン戦争やイラク戦争はむしろ例外に属します。
アメリカは産軍依存体制が強く、戦争をしないと国が持たないところがあるようです。
武器弾薬がたまり過ぎると、それを処分するために戦争するという嫌いがなきにしもあらず。

1929年の大恐慌では、ニューディール政策だけでは経済の回復はムリで、結局第二次世界大戦を待って、やっと需給のバランスが均衡したという事実があります。
その戦争が国益に沿ったものかどうかの判断は、案外株価や為替相場を見れば一番よく分かるのかもしれません。
軍需産業が潤(うるお)され、株価やドルが上がるのか、それともその戦争が国力の足を引っ張ることにより株価やドルが下がるのか?

ベトナム戦争などは、国益を阻害しただけでなく、国民の心まで荒(す)ませる結果となりました。
ベトナム戦争以降、アメリカ国内の治安自体が急速に悪化しました。
今のイラク戦争やアフガン戦争は徐々に泥沼化しているように感じます。
アメリカの世論が何のために戦っているのかの疑問を持ち出すと「名誉ある撤退」の時期が近くなるのかもしれません。
特にアフガニスタンは「大国の墓場」と言われているところで、今まで大英帝国ソビエトなどの大国も、アフガニスタンに軍事介入しては敗退し、国力を大きく削がれてきました。
ソ連などは国が崩壊する原因の一つにもなっています

戦争は始めるのは比較的簡単ですが、終えるのが難しい。
不動産の「出口戦略」というのは、最初から売却のことを考えて不動産を購入するやり方です。
同じように戦争もどのように終えるかを決めておかなければなりません。
軍人が戦争を始めてしまうと、途中で止めることも難しく、また上手く手を打つこともできません。
シビリアンコントロールの真の意味はその辺にあるのではないかと思うのです。