デフレと円高

仮に100万円を持っている人がいるとします(金額はいくらでもいいのですが)。
何もしないでそのままおいておくと、デフレなので勝手にその価値が上がるのです。
つまりモノの値段が下がっているために、今年100円していたものが、来年は97円で買えるかもしれないのです。
デフレはモノの値段が下がり、おカネの値打が上がっていきます。

2年前に1ドル120円ぐらいだったのが、今は90円ほどになっています。
2年前に海外からモノを買うよりも、今買う方が25%も安く買えるのです。
あるいは25%も多く買えるのです。
つまり2年前だと100万円分しか買えなかったものが、今なら125万円分も買えるというわけです。
円を持っているだけで勝手に2割以上もお金持ちになるという不思議。

デフレで金持ち、円高でますます金持ちということになるのですが、問題はそれが全然実感できないことです。
マクロ経済の問題など、ふつう自分のまわりで分かっている人はあまりいません。
家族や友人に聞いてもあまり分からないわけです。
従って新聞やテレビで“ぼんやり”と知ることになります(以前の私がそうでした)。
ところが自分が勉強してみて「実はマスコミもよく分かっていない」ということがよく分かりました。

例えばデフレと不況を混同しているのです(どちらもよく似た現象なのですが)。
あるいは円安がよくて円高が悪いという思い込み。
日本は輸出に依存しているから、円高になると困るという論理です。
しかしながらドイツや韓国などは輸出依存度が50%近い「輸出立国」ですが、日本はわずか15%なのです。
圧倒的に内需依存型GDPなのです。
ただ輸出の15%の中に優秀な企業が多く含まれ、それらが元気だと日本経済も元気だという現象があるから、よく目立つというわけです。