アジア諸国のインフレ

日本は長い間デフレと付き合っています。
ところが日本を除くアジアはインフレが進行中。
中国のインフレ率は5%を超え、インドは8%を超えているのだそうです。
ほかにはインドネシアが7%、シンガポールが3.8%、韓国3.5%、タイ3%となっています。
特に食料価格が上昇しているのが問題です。

新興国ではエンゲル係数が高く、食料価格の上昇は、先進国よりも影響が大きいのです。
例えばインドでは食料への支出が家計の半分を占め、また中国では3分の1を占めます。
インフレがこのまま続くと、文字通り国民が「食えなくなる」ので大変です。
中国は金利引き上げを何度か行っていますが、物価上昇率には追い付かず、まだこれからも段階的に金利を上げていくのではないでしょうか。

アジアの通貨の為替相場も上昇しています。
アジア経済は輸出に依存していることが多いので、通貨高は歓迎できない現象です。
しかしながらインフレが足元から迫ってきているので、例えば韓国政府はウォン高を容認する姿勢を示しています。
韓国は輸出がGDPの半分を占めており、ウォン高と金利高の政策の手綱の取り方がまことに難しいわけです。
輸出依存国というのは韓国やドイツのように輸出が50%の国のことであって、日本のように15%の国のことを言うのではありません。

円高は輸出依存国である日本にとって悪影響」などというワンパターンの思い込みは完全に間違っているのです。
また「円高になれば企業業績はよくなる」という経験則もあるのです。
実際、日本の上場企業は今期の経常益が53%も増加しました。

インフレを抑えるためには、金融を引き締めなければなりません。
そうすると経済自体が失速する可能性があるのです。
あるいはかつての日本がそうであったように、物価上昇と賃金上昇が競い合って、悪循環に陥ることも考えられます。
アジアの政府の経済担当責任者は、相当神経を張り詰めて「次の手」を打って行かなければなりません。