「円」が上がるのは「金」が上がるのと同じ理由で「たまたま投資対象として一番適しているから」であって、日本経済の好不調に左右されているわけではないのです。
ドル・ユーロ・円は、その国の経済の強さ以外の要因で、上がったり下がったりすることがあるのです。
ここのところが経済評論家やマスコミでも、よく分かっていないような気がします。
自分の実力でもないのに、円の評価が勝手に上がるのは、ある意味「儲けもの」。
チャンス到来でもあるのです。
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仮に今のような円高ではなく、急激な円安だと、輸出商品は伸びるかもしれませんが、逆に日本の消費者は海外から何も買えず、生活自体が豊かさから急速に遠ざかっていきます。
戦後、日本人の生活がどうだったかを振り返ってみればよく分かる話です。
1ドル360円の時が豊かだったとは、とても思えません。
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通貨為替の変動やバブル経済の崩壊などは、一種の「天変地異」であって、一個人や一企業でどうこう出来るものでは決してないし、例え国のレベルであってもなかなか対応できるものではないのです。
いま財務大臣をしている野田佳彦さんとは個人的にお話ししたこともあり、好感も持っているのですが「なぜ円高はいけないのか?」や「円安であればそれでいいのか?」の質問をした時に明確に答えが返ってくるかどうかは疑問です。
政府自体が「円高は悪」で凝り固まっているような気もするのです。
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円高は、円を持っている日本人が何もしなくても勝手に金持ちになっていくシステムです。
仮に1ドル140円だったものが、1ドル70円になるならば、石油や資源は倍買えます。
円高を利用して、日本企業が海外の企業を買収する動きが活発ですが、これは理にかなっていると思うのです。
ただしあとあとの経営力の問題はまた別なのですが、決断力に富んだカリスマ経営者がいる企業にとっては絶好のチャンスだと思うのです。
ついでに言えば投資家にとっても、そんな企業の株の絶好の買い場であるとも言えるのではないでしょうか。
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仕方なしに円高への対応策を出すというのではなく、より積極的に円高を活用していく知恵を、この際徹底的に絞っていくべきだと思うのです。
デフレ、円高は一つの大きな流れです。
いつまでも「インフレ頭」でいたり、円安に戻ることばかり考えていたりしていたのでは、完全に時代に取り残されてしまいます。