変身してこそのチャンス

子供の頃、日本はずっと貧乏だと思っていました(実際そうでした)。
国内の景気が良くなると輸入が増え、外貨準備高が足らなくなり、引き締めを行わなければならなくなり、そこが経済の天井となるわけです。
戦前は1ドル2円ぐらいだったらしいのですが、戦争に負け1ドル360円に設定されました。
しかしながら渡部昇一先生が客員教授で昭和43年にアメリカに行った時は、1ドル400円くらいの感覚だったそうです。

今日の円相場は1ドル94円。
私の予想ではもっと円高になるはずなのですが、一度89円までつけ、そこからはなかなか進みません。
1995年に1ドル79円まで行ったことがあるので、少々の円高では驚かされないつもりです。
本当は1ドル50円ぐらいを想定しているのですが、阪神タイガーズ優勝の確率と同じぐらいの可能性ではないかと感じています。

一時は世界恐慌まで一挙に突入するのではないかと危惧された経済ですが、1929年の様な大恐慌は起こらないように思います。
各国の政府が傍目(はため)かなわぬ経済政策を実行し、今のところその効果は出ているようです。
不動産業界を見回しても、売れ残りの在庫を抱えたマンションデベロッパーは青息吐息ですが、値段が十分に下がった中古市場では品薄状態の地域も出てきているようです。

そこそこ人気のある飲食店へ行くとお客さんがいっぱいで、本当に不況かどうかよく分からない状態です。
以前に野口誠一さんの講演で「世間の好不景気と中小企業の好不調とは違う」との話を聞きましたが、全くその通りだと思います。
外部のことを「あれやこれや」と言うのではなく、要は自社の経営のかじ取りをいかに上手くやっていくかに意識を集中させるべきなのでしょう。

私は今56歳ですが、35歳まではすべてインフレ、それ以降はすべてデフレでありました。
いまだにインフレ頭でモノを考えているところがあります。
「前年比○%増」などという考え方は、一刻も早く頭から除外しなければなりません。
成功体験もすべてインフレでの体験。
だから成功体験すらも、これからの経営には障害となるのです。

過去を捨て、早くシンプル経営に向かわないと、これからの時代に生き残ることが出来ないと思うのです。
変化はチャンス。
確かに今はチャンスの時代。
ただし自らが変身してこそのチャンスなのです。
見栄もプライドも過去の成功体験も捨て、変身へ。
時間はもう待ったなしなのです。