経済の動きを体感する

昭和の時代はすべてインフレ、平成になってからはすべてデフレで、実に分かりやすいのです。
今61歳の私が高校生の時は、日本経済は高度成長時代。
少し前の中国のような感じで、年率成長率は10%を超えていました。

大学生になると、インフレがきつくなってきました。
私は経済学部だったのですが、本気でインフレのことを勉強してみようと、インフレの本を何冊も読んでいったのを覚えています。
日本だけでなく、世界的に悪質なインフレに見舞われ、各国の政権が国民の信頼を失って倒れていきました。

ハイパーインフレ」や「スタグフレーション」(不況下のインフレ)などと言う言葉を覚えたのもこの頃です。
物心ついてから25年ぐらいはずっとインフレで、物価も賃金も上がるのが当然でした。
そういった意味で不動産が最高の資産であり「土地本位制」などと呼ばれていたのです。

その後石油ショックなどもあり、私が卒業し社会人として働いている間も、景気が良かったという印象はあまりありません。
28歳で今の不動産会社を始めたわけですが、32歳の頃バブルがやってきました。
バブルの渦中は、永久にこんな状態が続くという錯覚にとらわれるのですね。

一応いままでの社会人生活の中で、好況も不況もバブルもバブル崩壊も、そしてインフレもデフレも経験したことになります。
その時に世の中がどんな雰囲気だったかも覚えていて、案外これが今後役に立つ体験になるのではないかと感じています。

昭和末期のバブルの時に、世の中挙げて熱狂していたのですが、銀行も当然バブル志向でした。
そんな中にあって、過剰な貸出しを自重していた銀行もあったのです。
その銀行は「元老」がまだ健在であって、その人が過剰貸出しを許さなかったのです。

当然その銀行はバブル崩壊後も健全で、ほぼ無傷でバブル崩壊を乗り越えたので、一挙に優良銀行になりました。
バブルに走った他の銀行は、吸収合併されたり、酷(ひど)いところになると倒産したりさえしたのです。
銀行名自体がドンドン変わっていきました。
元の銀行名が新しい行名(こうめい)に残っているところは勝ち組と言っていいかもしれません。