アパート事業家

『あなたのアパート・マンションを即満室にする方法』(浦田健・フォレスト出版・1,500円)を読みました。
浦田健さんは賃貸住宅のオーナー業のコンサルタント
この本にはいろいろなテクニックが書いてあるのですが、要は物件への愛着だと思いました。

所有物件でも管理物件でも、数が多すぎると愛着を持って対処し切れません。
どうしてもビジネスライクに、もっと言えば御座なりになりがちです。
自分が愛着を持って接することが出来る範囲がその人の器。
器を越えた生き方は、けっしていいとはいえないのです。

不動産の仲間が言っていた言葉です。
「自分の所有物件と、人様から預っている管理物件とでは、どうしても扱い方が違ってきてしまう。
所有物件なら前の道路に落ちている吸殻でもサッと拾うのに、管理物件だと見過ごすことが多い。
このような仕事の質の差は、自分の人格にまで影響を及ぼすに違いない。
そういう意味でも所有物件を増やし、自分が納得のいく仕事をしていきたい」。

浦田健さんは自分でアパートやマンションの掃除をするべきだと言います。
「掃除することにより、修繕箇所や入居者のことなど、いろんなことが分かってくる。
従って手も打ちやすい」。
自分で掃除するのは、数の限界があります。
オーナー業としては上手くいくとしても、事業家にはなりにくいわけです。
だがしかし、なのです。
ビジネスライクな賃貸物件で空室をいっぱい作るよりも、数は少ないけれど愛情いっぱいの賃貸住宅の方が、社会的にも精神的にも意義があるような気がするのですが、いかがでしょう?

不動産業を営む友人があるセミナーに勉強に行き、たまたま隣の席に座った若い人と話をしました。
その若い人:「私はアパート事業家です」。
友人:「ああ、アパート家主さんですね」。
若い人「いいえ、事業家であって、アパート家主とは思っていません」。
友人:「アパート事業家とアパート家主とはどう違うのですか?」
若い人「最初に土地があって、そこにたまたまアパートを建てた人がアパート家主。賃貸を事業として捉(とら)えるのがアパート事業家です」

この若い人は、もともと商社に勤務しており、会社を退職するに当たり、今後はどんな事業をやっていくべきかを、真剣に考えたそうです。
そして出た結論が「アパート事業家」。
なぜなら不動産業界のレベルは低く、これなら自分が入っていっても十分成功できると思ったからだそうです。
「余った土地にアパートでも建てようか」がアパート家主。
「選んだ物件(土地)を購入し、付加価値を高めていく」のが、アパート事業家。
現に「借地権アパート」や「シェアハウス」など、新しい分野をどんどん開拓していっているとのこと。

この人ぐらいまでいかなくても、最近はサラリーマン不動産投資家も増えてきました。
賃貸住宅フェアなどに行っても、従来の不動産屋や地主とは違った層の人たちの姿を見かけることが多くなりました。
時代は変化しているのです。
市場の要請に応じることが出来るように、もっともっと勉強していかなければいけないと痛感しています。