『いつまでもデブと思うなよ』(岡田斗司夫・新潮新書・700円)

1年間で50キロの減量。
117キロから67キロへ。
写真も載っていましたが、単にスマートになっただけでなく、知的にも人格的にも随分レベルアップした感じがしました。

「若返るとはこういうことか」を実感しながらのダイエットだったので、その過程が楽しくて仕方がなかったそうです。
著者が語る「ダイエットしてよかったこと」は次のとおり。

著者は世間的な話題にはほとんど興味がないので、普通の人、特に女性との会話は、共通の話題が全くなくて困ることが多かったそうです。
それがダイエットに成功すると、自分からムリに話題をひねりださなくても、向こうからいくらでも話しかけてくるとのこと。
先日など空港の待合室で知人相手にダイエット講義をしていると、気がつくといつのまにか周りに人垣ができていたそうです。
みんなダイエットには興味があるのですね。

著者は作家・評論家という知的な職業なのですが「デブ」の間は同じ仕事をしていても、他人からの評価がワンランクも、ツーランクも下に見られていたことに気がついたそうです。
「人は見た目で評価する」は本当かもしれません。
ダイエット成功の自信も、著者自身の雰囲気や印象を大きく変えているのに違いありません。

太っている間は、着る服がなかったそうです。
5L(L,LL、LLL、LLLLのもうひとつ上)の服は、特殊な売り場へ行かなければ売っていないし、品揃えも少なく、しかも普通の7倍ぐらいの値段がするそうです。

著者がとった第一ステップは「レコーディング・ダイエット」。
単に食べたり飲んだりしたものを記録していくだけの作業です。
それだけでほかには何もしないのに、5ヶ月間で体重が10キロ減ったとのこと。
仕事に集中しているときは食べないのに、気分転換の時間に習慣だけでお菓子を食べてしまう。
しかも午後10時から深夜2時までの「魔の時間帯」に集中していたことも、記録しているうちに分かったそうです。

食べ物売り場の棚の前で、自分が一番食べたいものを選ぶと、必ずその中で一番カロリーが高いものだということも発見。
ファミレスのメニューの中から選んでも、例外なくそのとおり。
最も高カロリーなものを、いつも例外なく選んでいたというのもビックリ。
だから太っていたわけです。
あるコンビニの店長いわく「太った人は太る食べ物を買って行く」。
ごもっとも。

ダイエットには75日目ぐらいに「飢餓感と落ち込み」が来て、それが1〜2週間続くそうです。
ダイエットが続かなくなるのは大抵この頃。
ただこれを乗り切れば、体が抵抗をやめ「やせること」を認めるようになるそうです。

単なるダイエット法だけでなく、読み物としても面白い本でした。
この本を読んだだけで少し体重が減りそうな気がしてきます。