事業は難しい

サラリーマンで出世しようと思ったら、まわりとの協調性はどうしても必要です。

が、中小企業の創業者だと、社内外での協調性などお構いなく会社の成長に集中することができます。

仕事一筋で来て成功した経営者の中には、趣味も友人も持っていないという人が結構います。

一代で上場までした創業社長なのに、収入はすべて会社の設備投資や研究開発費に使ってしまい、自分の資産としては(そんなに大きくない)戸建ての自宅一軒だけだった人もいたことを聞いています。

一度事業を立ち上げると、もう自分の意思では途中でやめることができなくなることも多いのです。

ましてや多額の借入れがあったりすると、会社を継ぐ人すら見つからないといったケースがあります。

あるIT企業の創業社長の本を読んでいたら、最初から売り上げは順調に伸びていったけれど、人の問題で“てんやわんや”してきたことが書かれていました。

社員の離職率3割近かったそうです。

社内の結束とモチベーションを上げるために(意味のない)売り上げ目標を打ち上げ、それを達成するためにシナジー効果が見込めない(と言うか全然関係のない業種の)会社を買収し、その売り上げも足して、やっと目標に到達させたりもしたそうです。

せっかく20億円も積み上がっていたキャッシュを「つまらない」M&Aで使ってしまい、もしその時に本業の具合が悪くなるようなことがあると、一気に経営危機にまで向かっていたはずです。

ずっと後になって会社の幹部に「あの時の売り上げ目標は適切だったと思うか?」と聞いたところ、「そんな目標ありましたっけ?」という答えが返って来てズッコケたそうです。

成功した会社でこれなんですから、事業というのは本当に難しいものです。