事業の方向

若い頃はセミナーに頻繁(ひんぱん)に出ていました。
とにかく経営というものが、分からないことだらけで不安だったからです。
セミナーでほかの参加者と知り合いになることも多く、それらが業界での友人になっていきました。
例えば不動産のセミナーだと、大阪でも東京でも、とにかくどこでも一緒になる人がいるのです。

座席がフリーのセミナーでは、私は必ず一番前の席に座って聞くのですが、その人も同じく一番前で、それで親しくならないわけがありません。
そういった人たちとは自然に勉強仲間のグループができ、今でも交流が続いています。

遊び仲間ではなく「勉強仲間」なので、その人たちの会社は、規模はともかく「いい会社」に育っているところが多いのです。
不動産業は営業エリアがバッティングさえしなければ、ノウハウを全て教えあうことができます。
ノウハウだけでなく人生観や仕事観や経営哲学など、経営の根幹となることもすべて聞くことができたのは「ヒヨコ」であった私にとって実にいい経験でした。

私には若い頃に不動産の師匠がいて、この方から「不動産を売ってばかりしないで、たまに買える不動産が(市場に)出たら、買っておきなさい」というアドバイスを受けたことがあります。
その時には売買仲介に一生懸命だったし、それほど資金も潤沢(じゅんたく)ではなかったので、その後何年もかかってポツリポツリと買っていきました。
まだ『金持ち父さん、貧乏父さん』の本が出ていない頃のお話です。

長い期間をかけて少しずつ不動産を増やしていったので、資金的にもそんなにバランスを崩すはありませんでした。
が、途中バブルの波が来て、調子に乗って借り入れで不動産を購入していき、危うくパンクする一歩手前まで行ったことがあります。

不動産仲介業や管理業は「サービス業」ですが、収益不動産を増やしていく「不動産オーナー業」の方向に向かっていった方がよかったかもしれません。
今では当社のメイン事業になったコインパーキングも、一種の「不動産オーナー業」です。
こういった商品を見つけ、じっくりと育て、大きな果実を実らせていきたいものです。

同じ不動産投資であっても、キャピタルゲインよりもインカムゲインを目指す方法のほうが、当社にとっては相性がいいのです。
私は95歳までバリバリの現役を目指していますが「インカムゲインを目指す投資」が今後の事業方向であることは間違いがありません。