仕事には武器がある。

その時代によって、人生を切り開いていくための「武器」というのがあります。
例えば明治維新前夜であれば「剣」と「洋学」。
勝海舟だって坂本竜馬だって剣の達人でした。
洋学も新しい時代を迎えるためには必要不可欠のものだったに違いありません。

今なら英語でしょうか。
大企業に勤めるのであれば、英語力は大きな力になるはずです。
例え英語を使う部署でなくても、英語ができるというのは出世へのパスポートのようなものでしょう。
ただし私は「街の不動産屋」として35年ほど働いていますが、いまだ英語が必要だったことは一度もありません。

英語ほどハデではありませんが、ビジネスパーソンなら是非とも持っておきたいものに「経理」の知識があります。
「会計」や「簿記」や「財務」と言い換えてもいいかもしれません。
私は一部上場の不動産会社に勤めていたことがあるのですが、退職する時に当時の社長から「経理の知識はとても大事」とのお言葉を頂きました。

社会人になってから夜間の簿記学校に通ったことがありました。
これは肉体的・精神的に実に苦しく、文字通り「苦学」でありました。
結果、日商簿記2級の試験に合格したのですが、これがその後の会社経営にどれほど役に立ったことか。
中小企業では社長といえども、P/L と B/S の違いも分からない人が少なくないのです。

ITの知識もしくは技術は、もう必要とかどうとか言っている以前の問題です。
このITの分野だけは私も苦手で、最先端の技能からは程遠い状態です。
どう勉強したらいいのかさえも分かりません。
従っていかに「いい専門家」と知り合い、肝心な時に手を貸してもらえるかに注力することしか手はありません。

当たり前の話ですが、専門分野(本業)での知識は、広く深く常に勉強しておかなければなりません。
私が若い頃「スゴイ!」と思った、同じ不動産業界の人がいました(当然憧れました)。

「こと不動産に関しては、弁護士よりも法律のことをよく知り、税理士よりも税金のことが分かっており、設計士よりもいいレイアウトを提案できる」というのが、その人の「売り」で、実際その通りでした。
その人は後に「あれよあれよ」という間に会社を1部上場にまで持って行ってしまいました。
1部上場企業と言えば1万人ぐらいの社員がいても全然おかしくないのに、驚くことにその会社は社員数がたったの15人(!)なのです。