変化するものが生き残る

出産した娘のところへ妻が1か月以上の間、手伝いに行っていたのですが、私にとっては生活そのもののピンチでありました。
その時にプライベートな面でも助けてくれた社員がいるのですが、心から感謝しています。
自分が困った時に気持ちよく手助けしてくれた恩は忘れません。

会社で公私混同はよくないと言われていますが、私はプライベートなことでも堂々と社員にお願いすることがあります。
会社で時間生産性が一番高いのは社長である私(のはず)なので、プライベート面のことを私に代わって処理してもらえれば、その分私の時間が浮き、その時間で収益を生む仕事に集中することができるからです。

一倉定先生は「社長には秘書と運転手がどうしても必要」と説かれていましたが、確かに社長に秘書と運転手がいると、社長自身の生産性が倍増するのです。
私は少なくとも95歳まではバリバリの現役で働こうと思っていますが、一人で頑張るという意味ではなく、常に仕事をサポートしてくれるスタッフも必要だと思っています。

ここ数年にわたって会社を縮小していったのですが、これは大正解でした。
会社を小さくしたからといって「利益最大化」を諦めたわけではありません。
むしろその逆で、会社を小さくするほど利益は大きくなっていきました。
ならば自分一人で働けばもっと儲かるではないかということですが、たった一人で働いてモチベーションが上がるのかどうかはよく分かりません。

会社のメイン事業を、より利益率の高いものに変えていくようにするのは、社長の最も大事な仕事だと思うのです。
かつて石炭産業が勃興し、猛烈に儲かっていた頃「石炭以外の商品を扱うべからず」といった方針を出した会社はすべて姿を消してしまいました。

「住友石炭鉱業(今の社名は住石ホールディングス)」がマンションを分譲しているのを見てビックリしたことがあります。
石炭だけに固執していたら「今」はなかったと思うし「明日」は確実にないはずです。

会社には「変えなければいけないもの(例えば商品)」と「変えてはいけないもの(例えば家訓)」があるのですね。
事業や業態や商品は、変えていってしかるべきだということだと思うのです。

デジカメが登場し、かつてのフイルムという商品が全く必要となくなりました。
コダックは倒産しましたが、富士フイルムは事業分野を変え、今でも隆々と繁栄しています。
極めて優れた経営者がいたからこそできた大変身だと思うのです。