黄金の60歳代

大学受験は大変ですが、ある意味、何もかも忘れて勉強だけに打ち込めばいいわけで、そういった時期が人生に一度ぐらいあってもいいのかもしれません。
ひるがえって、仕事だけに打ち込める時期というのを考えると、案外限られているようにも思います。

30代、40代は働き盛りというけれど、子育てもあり、交友関係にも気を使わなければならず、何かとお金も出ていき、なかなか仕事一本に絞り込むのも難しいのです。
それに対し、還暦過ぎた自分の立場は何と恵まれていることでしょうか。
もう完全に「仕事集中モード」で行けるのです。

子供たちは独立し、子育ての心配もいらず、人間関係にも煩(わずら)わされず、経済的な束縛からも解放されているのです。
こんな絶好のポジションにいるのに、仕事を楽しまないなんてアホです。

仕事という面において「60歳代が最高だった」という人を何人か知っています。
ある人は事業家だったのですが、60歳代に打った手が見事にピタリぴたりと決まり、そこから格段に資産を増加させました。
ある人は大企業の重役だったのですが、今までの経験やノウハウや人脈を駆使して、やはり人生最高の仕事を60代で成し遂げています。

もともと私自身は見栄はあまりないほうなのですが、60代になるとますます見栄や体裁や虚勢から離れていきました。
人がどう思うかではなく、完全に自分自身の意思で決断できるようになりました。
もう自由自在に仕事ができるというわけです。

オンとオフとの区別もつけず、平日であろうと土曜・日曜であろうと、ずっと仕事を楽しんでいます。
もし仕事が強制されたものであるなら、苦痛としか言いようがないのですが、自分がやりたいからやっているだけの話で、こんなオモロイことを止めるわけにはいかないのです。

私自身が管理されるのが嫌なので、会社のスタッフの管理もほとんどしていません。
会社を小さくする努力をしていったら、管理しなくても勝手に懸命に働くスタッフばかりになりました。
デキの悪い社員がいると、会社全体の足が引っ張られるという経験は、経営者なら誰でもしていることではないでしょうか。

息抜きもなく仕事一筋なんて言うと、いかにも大変そうですが、実際こんな楽しい毎日はありません。
「黄金の60代」を徹底的にエンジョイしてみようと思うのです。