コツコツ築いていく

経済的に安定した還暦というのは、実に爽快でもあります。
60年も生きてきたのだから、さまざまな障害や人生の「まさか」もあったわけですが、それを乗り越えてきた経験は、知恵や認識力や胆力となって身についています。
ただし経済的に不安定な老後は、ちょっと惨め(みじめ)かもしれません。

若いときから懸命に働くのは当然として、やはり不労所得の基を形成しておかなければいけないと思うのです。
いつまでも自分の実力でやっていけると思い込むのは、ちょっと危険で傲慢でもあります。
私自身が苦労したからこそ言えるのですが、借入れを無闇に増やしてしまうのは厳に慎むべきだと思うのです。

上場企業でも零細企業でも、借入れが大きすぎるから倒産するのです。
三洋電機や林原などは、極めて優秀な技術を持っていたのに潰れてしまいました。
その原因をひと言で言うなら「借入過剰」だったからです。
借入れを続けていくと、感覚がマヒしてしまうのです。

芸能界は売れるのは案外簡単だけど、それを維持するのが大変だと聞きます。
一般の会社でも一時期儲かるのはよくある話なのですが、それを維持していくのは実に難しいのです。
サラリーマンをしている時に人の3倍の業績を上げたなんて言っている程度では、実際に自分が経営した場合、とてもじゃないけど覚束ない(おぼつかない)のです。

うまく行ったら行ったで、すぐに天狗になってしまいます。
天狗の鼻は必ず折られることになっており、それが半年か3年か10年かはその人によって違うようです。
豪華な自宅を建築し、その完成を待たずして会社が倒産している例だってあるのです。
あるいは完成したのはいいけれど、一緒に住む家族がいなくなっていた例もあります。
すべては傲慢さが引き寄せた結果でもあります。

謙虚に色々な人の協力を得ながら、不労所得の基を作って老後に備えるべきです。
見栄なんて全く必要ありません。
自分の器に添った生き方をしていけばいいわけです。
私自身はここにきて神道にハマっているのですが、やはり正しい信仰を持っていると謙虚になるし、見栄や傲慢さからも距離が置けるということを実感しています。