株価のつまづき

株価が気持ちいいぐらい下がり、株をやっていない人には何も関係がない平穏な日々でありましょうが、少しでも株と関わっている人にとっては天地動乱の日々であったと思います。
不動産価格の場合は細々とした上げ下げはそんなにないのですが、株をやっていると、嫌でも「波動」という存在を無視するわけにはいかなくなります。

上海株式市場の動向によって日本の株価も随分影響を受けるのですが、中国経済が壊滅状態になっていることなんて、少し勉強している人ならとっくの昔に分かっていることでもあります。
中国の場合は、株価が下がりそうだと予測されると、個々の企業の株の売買を中止することが出来るのです。
とんでもない株式市場ですが、もし市場経済に任せていたら「暴落」することは目に見えています。

中国の株式市場のことなど放っておけばいいのに、日本の株式市場はご丁寧にもいちいち反応するのです。
「『株式市場』とは、美人コンテストで誰が一番美人かを自分が決めるものではなく、誰に一番票が入るかを予測するもの」と喝破したのはケインズですが、まさにそんな感じです。

「市場に合わせて我が社を変える」のが経営ならば、「自分の信念ではなく、市場の思惑に合わせる」のが株式投資なのかもしれません。
ただしこれはあくまでも短期の取引の場合であって、長期保有を目指す株式投資の場合は、やはり自分の信念通りの投資スタイルでいいのではないかと思うのです。

日本が「失われた20年」で呻吟していた頃、日本以外の国の経済は絶好調でした。
北米や欧州はバブルとも言える状況で、しかもブリックスを始めとする新興国も大きくGDPを伸ばして行きました。
それが2008年のリーマンショックで、見事にひっくり返ってしまったのです。

そうするとハッキリしてきたのが、日本は半周遅れで走っていたと思われたのに、実は半周早く走っていたことです。
日本の経済状態をバカにしていた海外の経済専門家たちが、今度は自分たちがその罠にハマっていることに気がついたという次第です。

日本の銀行は不良債権を徹底して処理してきました。
その過程で実際に破たんした銀行がいくつも出てきたし、メガバンクだって名前の変わらなかったところはなかったのではないかと思います。
その結果、いま世界の一流企業に資金供給をする余力があるのは日本の銀行ぐらいになりました。
リーマンショック時に、日本の銀行はほとんど傷つくことなしにきたからです。

一般の日本企業だって過去最高益を出したところがゴロゴロあります。
これだけいい材料がそろっているのに右往左往する必要は全然ないと思うのです。
従って私も株価の上下に影響されず、経済と企業の研究をシッカリと続けていきたいと考えているところです。