ちょっとしたキッカケでAクラス

営業マン100人ぐらいの会社で、各営業マンの業績グラフを分析していた経営コンサルタントが面白い発見をしました。
入社3年目までの成績で、以降退職まで、その営業マンの業績ランクが決まってしまうというものです。
即ち、入社3年目までにAランクだった営業マンはその後ずっとAランクだし、Cランクだった人はそのままCランクに留(とど)まるというものです。
たまにCランクだった人がBランクの下位に来ることはあっても、Aランクに入ってくるということは全くなかったそうです。

ということは、入社3年目までに「たまたま」いい上司と出会ったり、いいお客さんと巡り合ったりすれば、そのまま永久にAランク入りしてしまうというわけです。
最初から「やる気」のない人などいないと思うのですが(いれば入社試験に通らないはずです)、入社3年目までに「たまたま」意欲を削がれるような環境に置かれた場合は、ずっとCランクということになってしまいます。

ひょっとしたら、その「たまたま」こそ、その新入社員が持つ「徳」の部分なのかもしれません。
普段から「いい加減」なことばかりしていると、肝心な時に天は味方してくれないのです。
箱根駅伝で優勝した大学は、部員の日常生活から根本的に直していったのだそうです。
例えば掃除の時間にズルをしている選手が、本番で神仏の加護を受けられるとは到底思えません。

ずい分いい加減な工員生活を送っていた「ある人」は、自堕落な生活を改めるため、東京の大手美容室に就職することにしました。
その美容室では「休む派」と「休まない派」にスタッフが分かれ、別にいがみ合っているわけではないけれど、両者の間には越えがたい溝があったのだそうです。

その人はたまたま「休まない派」に入ってしまい、文字通り1日も休まないで働いていると、3ヵ月もすればまわりの見る目が違ってきて、そうこうしているうちに、自分よりも技術のある人たちがいるのに店長に抜擢されたのだそうです。
今やその人は全国NO.4の美容チェーンの創業者兼会長になりました。

ある外資系保険会社の新入社員は「とにかく会社には朝1番に行け」との先輩のアドバイスを受け、その通りに支店で一番早く出勤してきました。
そうすると周りの人たちが勝手に「やる気」があるものと錯覚するのです。
そうなると面白いことに本人も、自分が「やる気」(および能力)があると勘違いし、本当にすごい成績を上げだしました。
この新入社員は入社3年目までに「Aクラス」入り、もしくは「超Aクラス」に入ってしまったので、もうずっと高ランクのままで行くはずです。