建築費高騰

先日、あるマンションデベロッパーの人とお話ししていて、ビックリしたことがあります。
ある小さなマンションを建てるのに、中堅の建築会社6社に見積もりを依頼したところ、「今は忙しすぎて、見積もりに応じることができない」と6社のうち5社から断りの返事があったそうです。

建築費が値上がりしていることは聞いていましたが、建築自体がここまで売り手市場になっているとは思いもしませんでした。
東北の復興事業で人手が取られ、またアベノミクスで景気が盛り上がり、そして東京オリンピック期待でますます建築需要が過剰になってきた感があります。
ほんの少し前まで建築各社は青息吐息だったのに、様変わりしました。

建設業界は長い間リストラの連続で、急に仕事が増えても、今度は人材不足で四苦八苦しているのではないかと思います。
現場の作業員だけでなく、本社要員も人手不足になっているはずです。
建築費の値上げで、新築マンションの分譲価格も上げざるを得ません。
それでも今のところ需要がついてきているので、マンションデベロッパーは各社とも強気です。

マンション用地も取り合いで価格が高騰していると思われるのですが、用地を取得し、いざ建築に取りかかったあたりから、肝心の景気の方がきな臭くなるケースが多いのです。
そしてバタバタとデベロッパーが倒れていきます。
これはいつか来た道。
そして何度も来た道なのです。

こういった状況を見て、当社のような街の不動産店が取る対策としては、当面「新築工事や大規模工事を要する案件は手掛けるべきではない」ということが考えられます。
このまま建築ブームが続くかどうかは、来年4月の消費税アップ以降の動向がカギを握ります。
前回でも消費税を上げたあとは、ガクンと消費が減退しました。

阪神大震災のあとに大手ハウスメーカーの人から聞いたのですが、大量の新築注文を受け、日本各地から職人を呼び、旅館を丸ごと借りきることまでしました。
それだけ人件費も経費も増大したわけですが、クレームも多く、結局忙しい目ばかりして、そんなに儲からなかったとの話でした。

会社の経営は不況は不況で難しく、また好景気は好景気で難しいわけです。
もう来ているのかもしれませんが、不動産業界にもこのブームはやってくると思います。
その時に浮かれずに、いかに平常通りの運営をやっていくかであります。