今後の経済のトレンド(主に不動産業)

前回消費税を3%から5%に上げた時、クルマと住宅の駆け込み需要は凄かったのですが、増税後はストンと消費がなくなりました。
その後2年間、住宅関連や不動産関連の会社は非常に苦しんだのです。
その間にマンションデベロッパーもいくつか潰れました。
需要の先食いがあるので、一見すると市況が良くなったように見えるのですが、そのあとの反動が厳しいのです。
今回消費税を上げると、また前回の轍を踏むように思うのです。

今は円安に振れているので、石油を始め輸入品が高くなり、物価上昇の兆候があります。
また建築コストが大きく上がっており、これらの要因が無視できなくなってきました。
建築予定のものについては、少し慎重に進めていったほうがいいかもしれません。
大手中堅の建設会社もずっと人を減らしてきたのが、東北大震災以降、人手不足となっています。
仕事はあるけれど人の手が足りないという状態で、おまけに資材の値上げも加わり、こういう時ほど、余程うまく経営の手綱をとっていかなければならないと思います。

これからの長期トレンドの一つは、高齢者の増加。
経済でも社会現象でも、ここを外して考えることは出来ません。
団塊の世代が65歳を超え、仕事を離れることにより、フィットネスクラブが混みだすという現象が起きています。
またオープンの読書会などの勉強会にも、団塊の世代の入会が目立つようになりました。

不動産の世界でも、昔は小さい家から大きい家に移る買換えが多かったのですが、最近は換金処分が増えています。
戸建の増築ならぬ減築が行われることもあります。
老人夫婦では手に負えぬ5LDKをシェアハウスとして活用する例もあります。
郊外や山の上の戸建から、駅近のマンションに移る動きも無視できません。

老人用のオムツの需要が、赤ちゃんの需要を超えました。
昔は平均寿命も短く、定年後ほどなく亡くなったので、老後の生活設計はいらなかったのです。
ところが定年後の生活が長くなると、長寿が経済的なリスクとなってきたのです。

大学生などのアルバイトが、安価で優秀な若い労働力を供給しています。
早い話がマクドナルドはアルバイト抜きでは成り立ちません。
家庭の主婦のパートも同じことです。
出産、子育てで仕事を中断していた層に、優秀な人材が埋もれていることが少なくありません。

定年を迎えた人たちが隠居するのではなく、持てる力を発揮するシルバーワークが社会的にもっと定着していく必要があるかもしれません。
あるいは「生涯バリバリの現役」運動を、世の中に普及させていくかです。
経済のグローバル化が賃金の平準化現象を起こし、日本の賃金は安くなる方向へと、ずっと足を引っ張られてきました。
また企業が新卒採用に外国人留学生を採用し出しました。
10年後の日本の労働市場は、様変わりしている可能性があります。