2012年を考える その3

アメリカ経済は少しずつ上昇へ向かっていて、企業業績は持ち直しているようです。
しかしながら失業率には改善の兆しが見えません。
これは経済が回復しても、企業が人を雇わないということを意味しています。
企業が求めている人材と、職を求めている人との能力ギャップが大きいのです。

日本でも同じことで、人材が欲しいのだけれど、適切な人がいない状態がアチコチで起こっているようにも思えます。
新卒でも礼儀正しくスポーツでもやっていたような学生は、一流企業から驚くような早さで内定が出ています。
安直な学生生活を送るだけ送り、それでいい会社に入ろうとする方がムリというもの。
仮に不動産関連に入りたいのであれば「宅建主任」の資格を学生時代にとっていれば、採用への有利さが大きく違ってくるはずです。

1929年の世界大恐慌で、アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領はニューディール政策を実施しました。
公共投資による「有効需要創出」政策です。
しかしながら大恐慌による需給ギャップは、第二次世界大戦を持ってして、初めて解消したと言われています。
つまり戦争には、極めて大きな有効需要創出効果があるということでもあります。
何が言いたいかというと、長い経済の落ち込みが戦争を勃発させる可能性があるということです。

戦争になるとヒト・モノの損傷が激しくなります。
当然ながら供給量は減るわけです。
また戦時需要によって、普段の実需を遥(はる)かに超えるニーズが出てきます。
需要が供給を上回れば、インフレです。
基本的には「平和はデフレ、戦争はインフレ」なのです。
日本には30兆円にも及ぶデフレギャップが存在し、長い間日本経済を苦しめていますが、これはまさに平和の代償とも言えるかもしれません。
ちなみにケインズ有効需要理論を最も上手く活用したのは、アウトバーンなどを作ったヒトラーではないかと思うのです。