円高は絶好のチャンス

1ドル360円だったのが75円ぐらいになり、随分と円高になったような論調がマスコミなどでもよく見られます。
ちょっと前に「歴史的円高」という見出しが一面に新聞に載っていたことがありますが、もし「歴史的」と言うなら、戦前1ドル2円だったのは一体何だったのでしょうか。
経済を専門にしている新聞記者でも、よく勉強していないことがよく分かり、ある意味では自信が出ました。

戦前は1ドル2円ですが、明治の初期は1ドル1円を意図していたようです(1ドル金貨と同じ金の含有量を持つ1円金貨を発行)。
つまり1ドル1円だったものが、今や1ドル77円にまで円安になってしまったというわけです。
この円安を早く元(もと)の1ドル1円に近づけないと、明治の先達に申し訳ないのです。

1ドル360円だったのが、1971年8月15日のニクソン・ショックで308円になりました。
「8月15日」を選んだのは、日本に「第2の敗戦」をもたらしたいという意図を示したかったからです。
つまり軍事的な敗戦が1945年8月15日、そして日本の経済的な敗戦を1971年8月15日にしたかったわけですが、現実はそうはなりませんでした。
日本経済がより一層の発展をしたからです。

2回目の円高契機は、1985年のプラザ合意でした。
この時は1ドル240円だった為替相場が、2年足らずで1ドル120円へ。
この時も自己変革できない企業は随分と倒産していったのに違いありません。
しかし日本経済自体はより足腰が強くなったのです。

関東大震災のときは円が下がりました。
今回の東日本大震災では円が上がったのです。
市場は日本経済は大丈夫だとみているわけです。
日本経済の一端を担う私たちも、その期待に添えるように頑張りたいと思うのです。
繰り返しますが、大きなトレンドで言うならば、円は1ドル1円の方向に向かっていると思うのです。
円高は資源や商品が安く手に入り、国民にとって大きなプラスです。
また企業にとっても、海外の優秀な企業を買収できる絶好のチャンスでもあります。
要は日本人が気概を持って、工夫と努力を怠らないこと。
日本の浮沈の鍵は、これに尽きるのではないでしょうか。