中国の不動産バブル崩壊

中国の分譲マンションは、原則としてスケルトンで引き渡しされ、内装の大部分を購入者が職人の手配をして完成させなければなりません。
日本のように、すぐに住める状態にして引き渡すわけではないのです。
職人の技術レベルも分からない状態で仕事を頼むことも多く、マンション購入の大変さは日本の比ではないと思います。

ある大手住宅メーカー(Dハウス)が中国でマンション分譲を行っています。
日本の企業の信頼感もあり、また内装まで完成させての引き渡しなので、このマンション事業は大いに受けました。
中国の富裕層は、自分はDハウスのマンションに住んで、中国の会社が作ったマンションを賃貸で人に貸すのだそうです。

事業が好調なので、次々にプロジェクトを進行させているわけですが、最近中国から帰ってきた社員が口々に「中国の売れ行きに不透明感が出てきた」との報告をしだしているのだそうです。
このDハウスの案件だけではなく、どうも中国の不動産バブル自体が弾けたような気がするのです。
私も経験があるのですが、バブル崩壊の兆しは、その“ど真ん中”で動き回っていると、よく見えないのです。
またバブル崩壊に人々が気が付くまでには、けっこうタイムラグがあるのです。

中国にとっては、もし今回バブル崩壊があるとするなら、初めての経験のはずです。
しかも個々の会社にとって、バブル崩壊はある日一気に来るのです。
バブル崩壊は、まさに津波と同じ。
それに気が付くか付かないかは天地の差となって現れます。
不動産業は、中国経済を引っ張る牽引車でもあるのです。
これが崩れると、中国経済全体がかなり厳しくなります。
日本は「失われた15年」を苦しみ抜いたのですが、それと全く同じ現象が起こるはずです。

あるファンドマネージャーを囲む食事会に参加したのですが「夏過ぎから世界的に経済が悪くなる」とのこと。
投資を控え、在庫を減らし、固定費を減少させ、借入れを減らし、できるだけキャッシュを手元に置いて、今から備えておかなければなりません。
特に借入れがポイントで、有利子負債が多すぎる会社は、大企業であろうと零細であろうと、生き残るのが難しいといえるのではないでしょうか。