株式上場

会社を設立して、その会社を上場まで持って行くことは、一種のロマンでもあります。
また上場による多額の資金導入も魅力です。
しかしながら、せっかく上場したのにMBOマネジメント・バイアウト)で上場を廃止する動きも“しばしば”見受けられます。
2010年には上場10社がMBO上場廃止にしています。

先日、生まれて初めて上場会社の株主総会に行ってきましたが、大変勉強になったのとは別に、「上場などするものではない」という思いも強く感じました。
株主総会のために、会社の経営陣や担当部署のスタッフたちが、相当準備してきた印象があります。
株主総会の朝のピンと張り詰めた緊張感がそれを物語っていました。

業績が低迷したり、会社に不祥事があったりしたあとの株主総会は大変だと思います。
いよいよ会社の具合が悪くなると、株主は株を売ればそれでおしまいですが(売却損は出るとは思いますが)、経営者の方はそうはいきません。
もっと言えば、社員はボロ会社を辞めれば「グッドバイ」ですみますが(その後の生活をどうするかの問題はありますが)、会社の社長は辞めることも出来ないのです。

株主総会への準備などは、本来の会社の営業活動とは別のものです。
株主総会に注ぎ込むエネルギーを本来の事業に向けて費やした方が、会社にとってはプラスに違いありません。
上場維持のために1億円以上の費用がかかるのだそうです。
100億円もの利益を上げている会社なら1億円は大したことではありませんが、仮に1億円の利益を上げる会社があるとしたなら、上場維持のコストだけで、利益がゼロになってしまうわけです。
そこまでして上場する意味があるのかどうか。

昔から知っている不動産業の仲間の中にもジャスダックマザーズに上場した人たちが何人かいます。
たしかに図抜けて「仕事がよくできる」人たちでしたが、上場後青息吐息になっている会社も少なくないのです(前回の「ファンドバブル」での失敗が影響しているように思います)。
従ってなおさら「上場する意味があるのか?」の疑問が私の中では強くあるのです。