株式上場 続き

会社には飛ぶ鳥を落とす勢いの時期があります。
また逆に成熟し以前ほどは成長しなくなる時期や、もしくは衰退していく時期もあるのです。
勢いのある時に上場するのはいいのですが、低成長期に入ると上場のメリットがあまり感じられないようになります。
一般株主は短期での業績を問うので、長期的な視野に立った方針が打ち出しにくいというデメリットもあります。

上場のメリットには、知名度が上がり社員募集が有利になることや、資金調達がしやすくなることが挙げられます。
非公開の会社でも、それらが既に満たされているなら、上場する意味はほとんどありません。
例えばサントリーは非上場会社ですが、就職の人気番付では常に上位を占めるし、資金的にも何ら問題がありません。
ならば煩(わずら)わしい上場などする必要など“これっぽっち”もないわけです。

TSUTAYA」や「アートコーポ」も上場廃止への方向を打ち出しました。
一度知名度が上がれば、人材募集も社債発行も銀行借り入れもやりやすくなり、上場にこだわることもありません。
将来に向けてキャッシュをしっかり蓄えておくことも出来ます。
上場していると一部株主から「そんなカネがあるなら配当に回すべきだ」という声も上がるでしょうし、またタチの悪いファンドがその豊富なキャッシュを狙って買収を仕掛けてくることも考えられます。
経営の自由度が大きく制約されるのも上場のデメリットの一つです。

ある出版社がジャスダック上場をやめ非公開にする予定です。
この会社はベストセラーを数多く出し、私の好きな出版社の一つでもあります。
金融機関から60億円を調達して「株式公開買付け」をし、もともと経営者が所有している株をプラスして、全株式の67%(3分の2)にする予定です。
そののち臨時株主総会を開き、全普通株式を「全部取得条項付種類株式」に変更する決議を取ります。
こうすれば会社が全株を強制的に買い入れることができ、上場を廃止できるのです。

ところが思わぬファンドが株の40%を買い占め、この会社の上場廃止に待ったをかけました。
まこと油断大敵。
2月中旬に臨時株主総会が開かれるのですが、さてさて結末はどうなるのでしょうか?
こういう事例を見ると、中途半端に上場すると余計なことを背負い込み、経営にプラスにならないとつくづく感じるのです。