国債のこと

中小企業の経営者が、個人のお金を会社に貸し付けた場合、会社の貸借対照表には「借入金」科目が出てきます。
ただしその場合は、銀行から借りたり社債を発行したりした時のように、他人から借金しているわけではありません。
実質的には無借金ということになります。
同じことが日本の国債にも言え、95%を日本の国民から借りているので、心配するようなことではないという説があります。
私自身もこの説について、感覚的に納得できるところがあります。

国債残高が800兆円ぐらいあり「国民は一人当たり600万円ぐらいの債務を持っている」と言う人がマスコミの中にも何人もいます。
これはいくつか変なところがあるのです。
まずは国債の総額を国民の数で割る意味がないということ。
また国債所有者からみれば、国債はあくまで債権であって債務ではないということ。

例えば仮にトヨタ社債を出しているとします。
そしてその社債の95%をトヨタの社員が購入しているとします。
社債を持っているトヨタの社員にとっては、社債は債権であって債務ではありません。
国債の問題は、会社の規模にして考えれば感覚的にとてもわかりやすくなるのです。

もし日本の国債のほとんどを外国からの借金で賄っているとしたら、必ず返済しなければなりません。
もし返済できない場合はデフォルト。
実際にロシアやアルゼンチンがデフォルトをした例があります。
ギリシャ経済があれほど不安視されているのは、外国からの借金が多いからです。
外国からの借金がない日本は「不安視」のしようがないのです。

それでも仮に日本の政府が倒産したとします。
その場合でも「政府」と「日本」とは別物なのです。
早い話が江戸幕府が潰れても、もっと立派な明治政府が出来たではありませんか。
政府が潰れると大混乱が起こるのは間違いがありませんが「日本」が潰れるわけではありません。
いずれにせよ、国に頼ることはもうやめて、企業も個人も自分の足でしっかりと立てるようにしておくことが大切なのです。