中国経済をみる その3

住宅バブル崩壊よりも、むしろ人件費の高騰によるコストアップの方が、中国経済にとって深刻な問題になるかもしれません。
また元の切上げ圧力もより一層高まっています。
元が上がれば、優位だった中国の価格競争力が弱まります。
外資が中国への投資を躊躇する要因にもなります。
外国のメーカーが今後、中国よりも人件費の安い国にシフトしていく可能性があります。
中国の生産基地としての魅力が減退するわけです。

中国にとってはEUが最大の輸出先なのです(アメリカよりも多いのは意外です)。
従って元高・ユーロ安となると、中国の価格競争力がダブルでダウンし、輸出がかなり不利になります。
輸出が減退する分、内需の拡大で成長率が維持できるかどうかです。
中国のGDPが今年日本を抜くと言われていますが、中国のデータ自体があまり信頼できず、後世見直してみたら「やっぱり日本のGDPの方がずっと大きかった」と言う可能性もあるのではないかと思っています。

経済の発展には社会の自由度が必要です。
当然その中には言論や情報の自由も含まれます。
経済をますます発展させようとすれば、今の共産政府がもたなくなってしまうリスクが中国にはあるのです。経済政策の失敗が、そのまま社会体制の変革(暴動や革命)につながるリスクが、他の先進経済国にはない中国独自のリスクだと言えます。

また知的所有権を無視し、他社や他国の技術を平気で盗む経済風潮や、粉飾決算や公的職員の賄賂など、このままの状態で中国が世界の先進国として進んでいくとは思われません。
中国にもいろいろな顔があり、経済の面が強くなれば、もっと豊かで自由な国が求められます。
政治が前面に出るようだと、どうしても経済や社会の自由は押さえられるでしょう。
軍事が前に出てくると、近隣諸国にとっては脅威で、中国の国内経済にも大きな制約がかかるように思います。