中国経済をみる その2

上海万博を開催中の中国は、ちょうど日本が大阪万博を行った頃の経済と、非常によく似ています。
言ってみれば、経済が「若い」のです。
従って、たぶん近々不動産バブルが崩壊するでしょうが、それが日本の「失われた10年」のように経済の活力を大きく削ぐような事態にはならないでしょう。

とは言え、いま住宅バブルに乗って機嫌よく踊っているところには、深刻な反動が来そうです。
中国の銀行や地方自治体の中には破綻するところも出てくるかもしれません。
いま中国まで行って不動産投機をすることは慎むべきでしょう。
わざわざリスクだけを背負いに行くようなもので、手を出さずにいるのが賢明です。

私も1989年の不動産バブル崩壊をモロに経験していますが、バブルの崩壊は誰かがどこかで命令しているのではないかと思うほど、人々の心のすきを突き、一挙に襲ってきます。
津波と同じで個人の力では避けようがないのです。
中国の住宅バブル崩壊は時間の問題だとは思いますが、ハッキリした時期は分かりません(アメリカの住宅バブル崩壊も「時間の問題」と私が言ってから10年もかかったので、予想が当たったと言い難いのですが)。

中国では消費者物価がジリジリと押しあがっているようで、それが生活を圧迫し、中国各地で工場のストが多発しています。
結果、賃上げが行われているのですが、こういった労働争議や賃上げはコストアップにつながっていきます。
中国では労働組合があまり上手く機能しておらず、労働争議や「山猫スト」が頻発しています。
特にこの5月になって工場でのストが広がってきました。

かつては内陸部からの出稼ぎ労働者がわんさかいて(「民工」と呼ばれています)、それが賃下げ圧力となり、中国の安い人件費が保てていました。
しかしここにきて、状況が少し変わってきたようです。
旧正月で故郷に帰る民工のうち、3分の1ぐらいが戻って来ないのだそうです。
内陸部でも工場ができ、わざわざ出稼ぎをしなくても、近くで職が見つかるからです。