「減収・キャッシュ増」

デフレの時代は「増収・増益」ではなく、「減収・増益」を目指す方が、より自然体に近いのではないかと思います。
増収を図ろうとすると、人を増やしたり、広告費をつぎ込んだりする必要が出てきます。
しかしながら思ったように売上が上がらなかった場合、結局は「コスト増」や「借入れ増」だけに終わってしまうリスクがあります。
もっと言えば「減収・増益」よりも「減収・キャッシュ増」を目指すべきなのかもしれません。
キャッシュフローが極めて大切なのです。

50億円の売上で1億円の利益を上げていた「設備工事業」の会社があります。
メインの事業は、新築分譲マンションの設備工事。
1億円の利益といっても、工事を受注するための交際費が必要で、交際費はある一定以上は経費で落ちません。
利益から超過交際費分を支出し、役員報酬を分けると、会社にはほとんど現金が残りませんでした。

そこで経営方針を変え「売上を減らす」努力をすることにしました。
で結果、今は売上20億円で、利益は同じ1億円。
しかし今度は交際費がほとんどいらないので、キャッシュフローも潤沢。
借入金もぐんと減らしました。
会社自体もスリムにしたので、ムリに仕事を取りに行かなくてもいいようにもなりました。

以前は競争の激しい新築分譲マンションの工事の仕事だったのですが、今は大きな工場の中に入り込み、設備のメインテナンスを中心にした事業を展開しています。
営業担当の頑張りに依存した、波の大きい請負事業ではなく、より安定した売上を計算できる事業に転換したわけです。
これなど典型的な「減収・増益」、あるいは「減収・キャッシュ増」の成功例だと思います。