不動産事業の変革 その2

きのうの続きです。
仲介業にしろ、管理業にしろ、今まで自分がやって来た業務に一生懸命打ち込んでいくことは比較的簡単なのですが、新しい分野もあるということには“なかなか”気がつきません。
本業で頭打ちというのは、魚がもういなくなっているのに、同じ所で魚釣りをしているのに似ているかもしれません。
魚のいないところで魚を釣る工夫をいくらしていてもダメなのです。

個人の努力を超えた大きな流れというものがあり、その波に乗っていかないと繁栄は難しいようにも思うのです。
一つのことに集中し、深く掘り下げていくのは、一種の「井の中の蛙」状態でもあるということです。
自分の頭だけで考えていても、新しい発想はあまり出てこないのです。
自分に合った新しい分野の発見は、やはり勉強好きで先進的な仲間との情報交換から生まれるのではないでしょうか。

事業には経営者との相性というものがあります。
経営者自らがピンとこないものはダメなのです。
私も若い頃から、人がやって成功しているのを見ては真似するのですが、相性の悪い事業は結局損を出し、手を引かざるを得なかった経験を何度もしています。
今やっている本業に打ち込んでいくのか、新規事業を導入していくのかの判断はまことに難しいものがあります。

当社にとって生き残るための新規分野は何かと考えた時に、それは「人手のかからない累積経営」であり、できるだけ「オーナー側に回ること」であり、「地域を絞る」ことであると思い至りました。
累積経営とはコツコツと一つ一つ積み重ねていける事業のことです。
売買仲介だと毎回ゼロからの出発。
毎年正月に「今年も本当にやっていけるのだろうか?」と心配しなければいけない経営なのです。
経営計画書を書こうとしても、売買仲介だけは数字が書けないのです。
書けたとしても根拠のない数字。

その点、累積経営の一つである賃貸管理なら、もう既にある一定の基盤が出来ているので、そこに新しい案件を積み上げていくだけです。
賃貸管理にはスケールメリットがあります。
今後は賃貸管理会社の統合の動きも頻繁(ひんぱん)に出てくるのではないかと思います。
ただしスケールメリットを追求する場合、社員数の増加も必要です。
従って賃貸管理は「人手のかからない累積経営」とは少しズレるのです。