理想の不動産業は? その1

不動産業には「仲介」という仕事があります。
仲介業は今月いくら契約を上げていても、来月はまたゼロからのスタートといった性質があります。
売買仲介などはどちらかというと「花形」の仕事ですが、そういう意味では厳(きび)しい業務です。

経営計画書を書こうと思っても、売買仲介の件数は予測がつかず、書いたとしても、あまり根拠のない数字を書くということになります。
仲介業をメインの仕事にしていた頃は、毎年正月に「今年も本当に今まで通り契約が上がるのだろうか?」ととても心配でした。

これに対し「管理」業務は、今までやってきた仕事に新しい仕事をプラスしていくもので、ゼロからのスタートというわけではありません。
これを「累積経営」と言います。
安定した経営という意味では「仲介」より「管理」のほうがずっと優(すぐ)れているわけです。

建売りやマンションの開発・販売は「分譲」業に含まれるのですが、これもまた好不況にかなり左右される業種です。
しかも土地を仕入れて商売をするわけで、在庫や借入のバランスを常にチェックしておかねばなりません。
経営者は大抵「行け行けドンドン」型が多いので、途中で経営が破たんするケースが少なくないのです。
不動産業の中では一番リスクのある分野かもしれません。

私が理想とする不動産業は「累積経営」が主体で、少数精鋭で、損益分岐点が低く、無借金で、安定収入で固定費を賄(まかな)える体制ということになります。
「不動産」業なのだから、人がバタバタと働くのではなく、「不動産」に機嫌よく働いてもらう方法を考えたいと思うのです。

自分たちと一番相性が合う分野や商品を早く見つけ、それに特化していきたいものです。
何かの分野でダントツのナンバーワンにならなければ、仕事をしていても面白くないのです。
そのための努力は決して苦痛ではなく、むしろかなり楽しいものではないかと思うのです。