治安と繁栄

博士号を持つ中国からの留学生の人によると、中国の長い歴史の中で最高の時代は「唐」なのだそうです。
唐の時代は、人々が家にカギをかけずに暮らすことができたとのこと。
国も繁栄し、治安もよく、人々も心豊かな時代だったのかもしれません。

渡部昇一先生がアメリカの大学へ教授として行ったのは、ベトナム戦争の前の「古き良きアメリカ」の時代。
この頃、学生はみんな自動車で通学し、カギもかけずに大学内に置いていたそうです。
よほど治安が良かったのでしょう。
しかしベトナム戦争が始まる頃から、人心が荒(すさ)み出し、渡部先生が帰国してから1年の間に、すっかりアメリカ社会が変わってしまったとの話を、アメリカの知人からの便りで知ったとのことです。

日本でもイザヤ・ベンダサンが『日本人とユダヤ人』の中で「日本人は水と安全はタダだと思っている」と指摘。
この本が出て読んだ時、私は高校生だったのですが、明らかに「水と安全はタダ」の時代であったことを記憶しています。
今はミネラルウォーターを買い、警備会社と契約するようになりました。

少し前まで「BRICsが次の世界を担う」と言われていましたが、その頃から私は疑問に思っていました。
Bのブラジルは強盗や誘拐が身近に起こる国。
これではまともに経済が発展するわけがありません。
Rのロシアの治安だってあまりいいとは言えません。
ロシアがグルジアに侵攻したとたん、外資が一目散にロシアへの投資から逃げ出したように、ロシア政府の強権がロシア経済のリスクになっているように思います。

Iのインドは行ったことがないのですが「物乞いと街の汚さにまいった」との話をよく聞きます。
やはりこれではまともな経済は育っていかないと思うのです。
Cの中国。
もう大国になったのだから、知的財産権などの国際的ルールを守ってほしいと思うのです。
中国は子供の精神のまま大人になったところがあり「自分さえよければ」の姿勢が強すぎます。
真の意味で尊敬される中国を目指すべきだと思うのです。