わが社の定義づけ

次回「一世塾」のテーマは「わが社の定義づけ」。
一倉定先生がよくおっしゃっていたことに「会社の定義づけで発想の仕方が変わる」というのがあります。
最近感心した定義づけが「マタニティ・リゾート」。
新しくできる産婦人科の病院なのですが、この定義づけで、見事にその目指すところと内容がハッキリしてきます。
従業員にも顧客にも、とてもよく分かるではありませんか。

で、当社の定義づけは?
このブログで「ああでもない、こうでもない」と考えていきたいと思います。
まず宝塚を外すことは出来ないと思います。
少なくとも私が社長の間は、この宝塚の地を一歩も出ません。
従って定義づけの言葉の中に「宝塚専門」を入れたいと思います。

今やっている事業は不動産業。
その中でも「分譲業」や「コンサルタント業」はほとんどやっておらず、「管理業」・「賃貸業(オーナー業)」・「仲介業」がメインです。
仲介や管理は不動産サービス業。
当社もずっとこの不動産サービス業を追い続けてきました。
ただこの不動産サービス業は人手がかかるのです。
会社の規模が大きくなればなるほど、ますます人手が必要になってきます。

不動産市況には必ず波があるので、売買仲介業などを拡大いくと、会社の固定費ばかりが上昇し、それに伴った売上げが上がらない時があります。
私自身は不動産業を3勝7敗の業界だと思っています。
即ち3年良くて7年悪い。
良い状態の3年間のために人を大量に入れてしまうと、あとの7年間に会社が持たなくなってしまうのです。
また不動産サービス業の場合、独立が容易で、せっかく人が育ったと思ったらすぐに抜けていき、会社が発展しないのです。

これからの時代は、できるだけ少人数で、しかも収益がよく上がる事業をやりたいものです。
従って不動産サービス業から別のコンセプトに移行すべきだと思っています。
具体的には「不動産サービス業」から「不動産オーナー業」への転換。
本来の不動産業では「いかに不動産の価値を高めていくか」が一番のポイントになります。
ちなみに不動産サービス業では「いかに顧客にいいサービスを提供するか」。

不動産を自ら取得して、それに付加価値をつける。
付加価値をつけた不動産を売却してもいいし、そのまま収益物件として所有していてもいい。前者はキャピタルゲインだし、後者はインカムゲインです。
キャピタルゲインを狙うのか、インカムゲインで安定収入を得るのかは大きな問題ではなく、付加価値をどう付けていくかが一番問われるポイントなのです。

定義に戻ります。
「宝塚専門の不動産活性化業」というのはどうでしょう?
不動産それぞれの特徴を最大限に活かしていくわけです。
逆に言えば、自分たちが得意とする活性化が可能な不動産のみを、選別し取得し変化させる。
当社で言えばコインパーキングです。
なぜコインパーキングかといえば「人が住むところは余っているが、車が住むところは足らない」からです。
「人が住むところは余っている」ので、賃貸住宅の建築は「土地の最有効利用」とは言いがたい。
従って当社は手を出さないという理屈になります。

ガソリンの値上げで、コインパーキングの売上げも低下しています。
また地価の値下がりが見込まれるので、土地から購入してのコインパーキング設置は、少し様子を見る必要が出てきました。
これも事業環境の変化の一つ。
「動かない」というのも大事な経営判断です。
動かずにじっとしているのは、とても忍耐力がいることでもあります。

会社の中にセミナールームをこしらえたのも「事務スペースの活性化」。
古家を壊してコインパーキングを設置するのも土地の活性化の一手段。
マンションをリフォームして賃貸にするのも、不動産の活性化の一環。
また時期が来たらそれを売却するのも、不動産活性化。
所有者が変われば、不動産がもっと活性化することだってあるわけです。

長い時間がかかって「わが社の定義づけ」が完成しました。
『宝塚専門の不動産活性化業』。
これを当社の定義づけにしたいと思います。