12年前と比べれば

日経新聞に12年前の円高時と、現在の経済状況との比較が載っていました。
1995年との比較。
1995年と言えば、バブル崩壊真っ最中といった感じでしょうか。
まずは株価。
12年前は日経平均17,000円台。
今は12,000円台。
長期金利は12年前2.7%、今1.3%。
原油価格はすごい差なのですが、12年前は何とわずか1バレル17ドルだったのですね。
今は110ドル。
6倍以上。

確かにこれなら産油国の鼻息が荒くなるのも理解できます。
南米の産油国があれだけアメリカに悪態がつけるのも、ロシアが「大国路線」を復帰させたのも、すべて原油価格の高騰がなせる業(わざ)。
原油で儲けた資金の投資先が見当たらず、そのカネが原油投機市場へ。
何だかよく分からない構図ですが、結果として原油価格がどんどん上昇しています。
人類の必需品を投機の対象にしていると、天の鉄槌が必ずや打ち下ろされることになると思います。

金の価格は12年前1オンス400ドル。
今は1,000ドルに上がっています。
日本のGDPは12年前493兆円、今515兆円で、どちらも約500兆円で、これはほとんど変わっていません。
物価指数は100.4と100.1で、これもほぼ完璧に一緒。
12年前と物価水準が全く同じということに驚いています。
失業率も3.2%と3.9%であまり変わらず。

65歳以上の比率(高齢化率)はさすがに上昇しています。
12年前は14.6%。
今は21.5%。
もうすぐ4人に1人が65歳以上になります。
家計(個人)の金融資産は1,250兆円から1,550兆円へ。
0.1パーセントぐらいの金利で、どうして金融資産が増えるのかが不思議ですが、確実に増えています。
これは日本経済の強い武器になると思っています。

輸出額は40兆円から80兆円へと倍。
ほかの数字があまり変わらないのに、ここだけは大変化。
やはりグローバル化の影響なのでしょうか?
輸入も30兆円から70兆円へと倍以上。
ただし輸出・輸入とも、対米比率は下がっています。
ほかの国との輸出入が増えたからでしょう。

上場企業の売上高営業利益率で「収益力」を測っているのですが、これは4%から6%へ上昇。
財務の健全性として、自己資本比率を比較して、25%から35%へとこれも上昇。
12年前と比べると、企業の体力は増しています。
個人の金融資産といい、企業の体力といい、日本経済には底力が隠されているようにも思います。
こういった要素を上手く活用していけば、かなりいい線行きそうなのですが、何かモタモタしている感があります。

こうして見ると、12年前とほとんど変わらない部分と、大きく変わっている部分とがあることに気がつきます。
物価が全然変わっていないことにビックリしたのですが、不動産の価格はどうでしょうか?
実は12年前からずっと下がりっぱなしの所も結構多いのですが、首都圏のビルや一等地は極端に値上がりしました。
しかしながらそれも今は価格調整局面に入っています(ファンドバブルの崩壊)。
一部の不動産価格が急上昇したのは、明らかに外資の影響でしょう。
サブプライムの問題などで、外資が潮を引くように消極的になると、不動産価格もガタガタになります。

つまり12年前と今との一番大きな違いは「グローバル化」。
外資や輸出入など、外国の存在が以前よりも色濃くなっているのです。
「地球は丸いと思っていたのに、実はフラットだった」という現象が身近にも起こっているわけです。
経済政策だって、経営方針だって、一国だけのスケールで考えていたのではズレてしまうのです。
「着眼大局、着手小局」。
国際的な動きを考慮に入れながら、打つ手はニッチに集中。
どうもこの辺が正解のような気がしております。