変化適応業

ハエ取り紙を生産していた会社があります。

 

ハエ取り紙なんて昭和前半の遺物のようなもので、今では目にすることもありません。

 

その会社がマスキングシート製造で復活し、大躍進中です。

 

新商品のマスキングシートに至るまでには、途中、ハエ取り紙の技術を活かし、工事現場で使用する養生テープなどを生産していたのですが、それとは全く違う市場に進出し、大きな成功を収めました。

 

顧客だって「職人」から「女性」へと変わるのです。

 

経営を「環境変化適応業」だと喝破した名経営者がいますが、変化する時代と市場に「わが社」を合わせていかないと、あっという間に消え去る運命にあると言っても過言ではありません。

 

自社の持てる技術を応用し、違う市場に進出する工夫と努力は、どうしても必要になってきます。

 

デジカメの普及でフィルムがいらなくなりましたが、コダックは倒産し、富士フイルムは医療業界への進出を果たし、隆々としています。

 

フィルム製造で培(つちか)った技術を薬品製造に応用したり、あるいは薬品会社をM&Aしたりし、新しい市場に着々と手を打っています。

 

日立造船という会社は「造船」という名前がつているものの、もう船は作らず、陸に上がり、焼却炉やプラントを製造しています。

 

「造船」に固執していたら、悪戦苦闘の連続だったかもしれません。

 

商品的に市場の変化についていけない老舗企業(創業100年以上)の場合は、不動産オーナー業に移行していることが多いようです。

 

かつて儲かった時代の資金でビル賃貸業に変身していたり、かつての工場跡地に賃貸マンションを建てたりしています。

 

ツノダ自転車という会社は、かつては上場企業で、メインの自転車製造から手を引いたあと、工場跡地を活用した不動産業を営んでいました。

 

会社四季報」で調べると、財務内容のいい優良企業だったのですが、従業員がたったの5名だったことにビックリした覚えがあります。