中小企業の社長を長い間やってきて、一番つらかったのが「社長は辞めたくても辞めることができない」ということでした。
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無論、事業がうまくいっているときは「辞めたい」などとは露ほども思わないのですが、経営のピンチが続くとすべてを放棄したくなります。
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バブルが崩壊した時など、社員は次々と辞めていくのですが、社長は決して辞めることができないという事実に、暗澹(あんたん)たる気持ちになった覚えがあります。
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事業に一生懸命打ち込み、会社が大きくなっていく間は、実にやりがいがあるものです。
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が、商売なんだから、いい時もあれば悪い時もあり、天気の日もあれば雨の日もあるわけです。
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好天が続き調子に乗っていると、嵐が来た時に一発で吹き飛んでしまいます。
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借入れがなく、損益分岐点が低ければ、嵐の時でもジッとしているだけでなんとかなります。
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大きな会社にしてしまうと、不況時に給与支払いや借入の返済をするのが苦しく、それを補うために新しい事業に手を出し、それが見事に失敗し、ますます泥沼にはまってしまうというパターンは色んな会社で繰り返されています。
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今から考えると「会社は大きくしなければいけない」という思い込み自体が失敗のもとだったのですが、そういう過程も経て今があるのは間違いがありません。
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従って失敗もまた必然として、今となっては肯定しようと思っています。
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仮に私がサラリーマンをやっていたら「完全定年」の年が過ぎました。
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サラリーマンだった友人たちは(出世した、しなかったにかかわらず)今は誰も仕事をしていません。
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その点、自分の小さな会社を持って、いつまでも働ける私は極めて幸福です。
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「一つ一つコツコツと収益物件を増やしていく」という「次の一手」もハッキリしました。
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大好きな勉強をしながら、ムリをせず仕事を続けていきたいものです。