会社を引き継ぐ

中学を卒業し、一心不乱に働いて、
町工場を一部上場企業にまでした人(故人)がいます。

その人の息子が後を継ぎ、より立派な会社に仕立て上げ、
先日その息子(創業者から言うと孫)に社長がバトンタッチ
されました。

初代は、自分が持てるすべての時間とお金を会社に注ぎ込み、
50歳まで自宅は借家だったそうです。

亡くなったときも、一部上場会社の社長なのに、
所有する財産は会社の株と退職金だけだったとのこと。

新幹線や飛行機も最後までエコノミーで、
運転手付きの社用車も持ちませんでした。
(それがいいのかどうかは別として)

自分のクルマを持つこともなく、大体があまりに忙しすぎて、
クルマの免許を取る暇がなかったのだそうです。

2代目の社長は経営の数字に強く、リーマンショックなどのピンチも
「知的財務能力」によって、見事に切り抜けた実績があります。

その「知的財務能力」を学ぶための、中小企業の経営者が対象の、
泊まり込みの勉強会が年2回あるほどです。

3代目の後継者も、祖父や父の背中を見て育っているので、
立派に会社を経営していくと思われます(過去最高益を出しています)。

実の親子で傑出した経営者が3代続くのは
稀(まれ)なことではないかと思います。

三菱は岩崎弥太郎を初め、4代も傑出した人物が続きました。
4代も優れた経営者が生まれると、財閥ができるのかもしれません。

歌舞伎役者は、生まれた時から歌舞伎役者になることを運命づけられ、
本人たちもその気になって努力します。

才能あるものが周りの環境にも恵まれ、努力を続けていくからこそ、
何代にもわたって歌舞伎の隆盛を引き継いでいけるのでしょう。
経営の世界でも同じようなことが言えるのかもしれません。