次のステップに向けて

例えば間違ってマズい酒を買ってしまったとき、もったいないから、それを我慢して最後まで飲んでしまうというのが今までのやり方でした。
が、思い切って捨ててしまうという手もあることを知りました。
「断捨離」と言えるかもしれないし「損切り」と呼んでもいいかもしれません。

大事なことは、自分のまわりにモチベーションが下がるものを置かないということです。
そういったものを惜しみなく処分することによって、運気がどんどん上がってくる経験を私自身も何度もしています。
人間関係でもそうで、モチベーションの下がる人からは、すうっと離れるべきなのです。

私も体験しているのですが、学校生活での辛さは先生を選べないことだし、サラリーマンの辛さは上司を選べないことだと思います。
その点、私のような小さな会社の経営者は自由自在。
お客様だって選ばなければいけないと思っています。

松下幸之助は「ダム経営」を提唱しました。
世の中は好景気ばかりではなく、二進(にっち)も三進(さっち)もいかなくなる恐慌だって来ることがあります。
石油ショックバブル崩壊リーマンショックなどで、あっという間に売り上げが3分の1になるなんてリスクが現実にあるのです。
そういった時に、ダムに水を蓄えているがごとく内部留保を厚くしておいたなら、少々のピンチは超えていけるはずです。

松下幸之助が講演で「ダム経営」のことを述べた時、「景気後退に備えて『ダム経営』が必要なことは分かっているが、われわれ中小企業はそれができないから苦しんでいる。どうしたらそう出来るのかを教えてほしい」という質問が後でセミナー参加者から出ました。
しばらくの沈黙の後、松下幸之助の答えは「まずはそうしようと思うことですなあ」。

あまり答えになっていないので聴衆からは失笑が出たのですが、「そうだ。思わなければ何も始まらないのだ」といたく納得した人がいました。
それが京セラの稲盛和夫さんでした。
まずは「そうなりたいと思うこと」から、すべては始まるのです。

まずは想いがあり、それを言葉にすることで一つのイメージが形作られます。
聖書の冒頭に「はじめに言葉ありき。言葉は神とともにあり」という文章が出てきますが、宇宙の真理を述べた意味の深い一節ではないかと思うのです。