マニラです。その2

宿泊しているホテルはマニラの中のマカティ地区にあります。
治安が悪いと言われるマニラですが、ここマカティは金融街で治安はいいとのこと。
確かに街を歩いていても目つきの悪い人はいません。

マカティというのは現地語で「かゆい」という意味なのだそうです。
かつてはこのマカティ地区は湿地帯で蚊も多く、どうしようもない場所だったのですが、アヤラ財閥がこの辺一帯の土地を買い、ビジネス街に育て上げたとのこと。
三菱地所における丸ノ内のようなものですね。

世界のどこでもそうなのですが、金融街はエリートたちが働いているのでレベルの高いレストランが多いのです。
また私の経験では、いい本屋も見つかりやすいように思います。
ただし観光という意味では、あまり見るべきところがないことも多いわけです

一緒に食事したYさんは若い頃ヨーロッパを1年ほどバックパッカーしていたそうです。
お金がなくなり日本へ帰り、旅行会社に就職。
ところがそこでIT部門に回され、ITの専門家になりました。
その後、IT関係の上場会社の役員もやっていたことがあるそうです。

Yさんは個人投資家として活動もしているのですが、何かのプロジェクトを立ち上げる時は、専門家たちでチームを組んで仕事をこなしていきます(仕事が終わればそのチームは解散)。
普通の会社に入ったならば、上司や部下や派閥といった余計な人間関係に縛られることがありますが、そのプロジェクトごとのチームであれば、働く仲間との関係が実にシンプルになります。

従来の人間関係にも縛られず、働くところも住むところも多国籍といった自由自在な生き方をする日本人が出てくる時代になったのですね。
仮に30年前に「職業は個人投資家です」なんて言ったら、胡散(うさん)臭い目で見られたに違いありません。

Yさんと話している間に、自分の殻が段々と剥(は)がれていくのを感じました。
これからはもっと自由な働き方や生き方をしていってもいいのかもしれません。
また私自身が結構そういったことをやっていける立場にあることにも気がつきました。

サラリーマンなら定年を過ぎているわけだし、子供たちもみな社会人だし、当社は小さな会社だし、考えてみれば相当自由自在なのです。
マニラまで来て、そんなことが分かったという次第です。