株の話

株価急落の陰にサウジアラビアの株売却という動きがあったようです。
世界全体では8兆円ほど。
日本の株式投資だけでも7,000億円もの売却を行ったらしく、そうなるとさすがに日本株も暴落するはずです。
日経平均が1日に1,000円も下がった日がありましたが、あの日などはサウジの影響がモロに出た日だったに違いありません。

石油の相場が1バーレル100ドルを超していたのが、今やその半分以下になっているわけで、産油国はどこも相当苦しくなっているはずです。
ロシアも言ってみれば大産油国の一つで、冷戦の時から資源で「ソビエト共産帝国」を維持してきたわけです。
原油価格の値下がり放置はロシアに対する戦略の一つで、昔ならとっくにOPECがこぞって生産調整していたはずですが、今は全くしていません。

背景にはアメリカのシェール革命があります。
下手すると(というか上手くいくと)アメリカは世界最大の原油輸出国になる可能性があります。
1バーレル当たり40ドルで採算の合う産油国は少なく、その上アメリカのシェール原油が市場に出てくるとなると、各資源国は経済危機に陥(おちい)るはずです(現に陥っていますが)。

サウジも周辺国家のゴタゴタから軍事力を落とすわけにはいかず、また国民の不満をそらす意味でもバラマキ政策を行おうとします。
そうすると財政的に厳しくなり、株を売って資金を作るという動きにならざるを得ないのかもしれません。

世界の株式市場の大スポンサーであるサウジアラビアが売り手側に回ったわけですから、株価は高値には寄り付きようがありません。
今後は買い戻す動きがあるかと言えば、多分それは難しく、むしろもっと売り圧力が高まる可能性さえあります。

値下げした株に買い向かったのは、ファンドなどではなく、むしろ個人投資家とのことです。
株価が下がったおかげで、超優良企業の株が大ディスカウントセール状態となっています。
そうなると配当利回りも高くなり、絶対潰れない超優秀企業の株が利回り4%を優に超えるといった状況になっています(例えばキャノン)。

大きな流れから言って、サウジアラビアが再び株の買い本尊になる可能性は少なく、そういう意味では当分2万円台を大きく超えることはないかもしれません。
でも配当利回りはスゴいのです。
ある意味、絶好の買い場が到来したと言えなくもありません。