金融商品としての不動産

東京の一等地に存在する一流ビルの売買は、一種の「金融商品」として取引されます。
最初からキャピタルゲイン狙いであることは間違いがありません。
市況や売り手・買い手の事情によって、大きく価格を変化させます。
いわゆる「相場」というのはないのかもしれません。

2006年前後のミニバブルや2008年のリーマンショックなどが、ここ10年ほどの間に起こり、その都度、市況は激変しました。
国内や外資のファンドや投資家集団が入り混じり、一流物件取得の争奪戦も行われてきました。

具体的な事例を見ていきましょう。
東京都渋谷区の「恵比寿プライムビル」は、2001年にモルガンスタンレーが400億円で取得。
それを2005年に旧AIGグループが650億円超で取得。
そして2008年12月に東急不動産が500億円で取得しました。

ティファニー銀座本店ビル」は銀座の表通りにある超一流の立地です。
2007年にゴールドマンサックスが380億円で取得。
それを2013年9月に孫正義さんが(たぶん個人で)320億円で取得しました。

東京都港区の芝パークビル(通称「軍艦ビル」)は2006年にダヴィンチが1,430億円で取得、それを2013年8月にセキュアードが1,170億円で取得しました。
こうしてみると、外資が不動産投資にいつも成功しているわけではないことが分かります。

私は大学を出てから、3年ほど造成事業の現場にいた時を除き、一貫して不動産業に従事しています。
「不動産業」の隣の業種は「建設業」で間違いないのですが、もう一方の隣には、いつの間にか「金融業」がすり寄ってきているのに気づき、ビックリした覚えがあります。

もともと不動産業にいる人よりも、金融業から不動産事業に入ってきた人の方が、勉強熱心だし、知的な感じがします。
外資相手に不動産投資案件に取り組む場合は、英語まで必要になってきました。
ドメスティックな業界がインターナショナルになっていくのは、もとより大歓迎であります。