将来につながる損切り

売上が上がらない時は、経費を見直すのが一番手っ取り早いわけです。
売上は上げようと思っても、相手がいることなので“なかなか”思うようにはいきません。
売上を上げるために、例えば広告費を増やさなければいけないこともあります。
この場合、経費だけは確実に増えるのですが、期待するほど売上が上がらないケースも十分考えられます。

会社にとって一番つらいのは、キャッシュが出ていくのに売上げ増につながらない経費。
税金がまさにそうです。
私は「反税主義者」では全くないのですが、会社にとって合理的な節税はどうしても必要なことだと思います。
不良在庫や、何の役にも立っていない不動産を処分する時は、たいてい損が出ます。
しかしその損分は税金が半分持ってくれるのです。
この考え方で、思い切った処分をすべきだと思うのです。

不良在庫は英語で「デッド・ストック」と言います。
即ち「死んだ在庫」。
そのまま放っておくと死臭がしてきて、ほかの健全な商品にもその匂いが移ってしまい、売れなくなってしまうのです。
早々に処分するのが正解であるのは間違いがありません。
服などの商品は、最初に半分がパッと売れるのですが、あとの半分をいかに上手に損しながら売り切ってしまうかが、販売の一番のポイントなのだそうです。
従って年がら年中「セール」をやっている印象があります。

不動産の不良在庫や不要資産は、会社の体力があるうちに処分するのが正解です。
損切りは何も株の世界だけの話ではないのです。
私も経験があるのですが、どうしても自分が購入した値段に拘(こだわ)ってしまい、決断が鈍るのです。
過去は過去の話であって、損すればその分税金が戻ってくるわけだし、何といってもキャッシュが入って来ます。

もし借入があれば、そのキャッシュで借り入れを返済すべきだし、もし借入がなければ、自社の財務体質改善に回すべきです。
いつまでも今の商品がヒットし続けるわけではないし、今の事業で稼ぎ続けられるわけでもありません。
またいつ「まさか」の災害が起こるかもしれず、そんな時に会社継続の支えになるのは「健全なB/S」しかないと思うのです。