データを意識する その2

deguchi2012-05-27

B/Sの「資産」の部には不動産以外にも、書かれている数字ほど実態が伴っていないものも少なくありません。
工場や会社で全く使っていない備品や機械も堂々と「資産の部」に計上されているかもしれません。
これなども早く処分してB/Sから消してしまいたいものです。
不要になっていることすら誰も気づかずにいる場合だってあるのです。

これを発見するには中小企業の場合、トップの「整理・整頓・清掃」が一番効果があるように思います。
パソコンをはじめIT関係の器械類は日進月歩です。
使わなくなったパソコンはB/Sから消したとしても、その周辺機器が使いもされないのに償却資産に載っていることがあるのです。

繊維メーカーに勤めていた友人から「新製品を出した時、半分ぐらいはすぐに売れるのだが、あとの半分がなかなか売れない。いかに上手く損をしながら、あとの半分を処分していくかがコツ」との話を聞いたことがあります。
不動産業の場合、倉庫には在庫はないのですが、一棟売りマンションやビルの完成在庫が売れずに残ってくると赤信号が灯(とも)ります。
過去最高益を出した途端に倒産した上場企業もありました。
いくら利益を計上してもキャッシュがなくなれば終わりで、不動産業の場合特にその現象が顕著なのです。

一度B/Sの整理整頓をやってみてはどうでしょうか。
整理整頓の要点は、言ってみれば「資産の部を出来るだけ小さくしてしまうこと」。
不要な不動産・債券・機械・備品などを、現物・帳簿上ともども処分(売却もその一手段)してしまうことです。
B/Sに「繰延資産」なんて項目があるならば、これは「資産」ではなくて「過去の費用」そのものです。
「退職引当金」と「金」がついているから現金かと間違っている人もいます。
幻の「資産」に騙されてはいけないのです。

だいたいが「貸方」・「借方」などという言葉自体もおかしな表現だと思うのです。
原価計算で、各商品に固定費を割り振って原価を算出していく方法も、変ではないでしょうか。
経営で一番大事な観念は「損益分岐点」に違いありません。
不動産の仲介業や管理業や賃貸業の場合、大部分が「固定費」で「変動費」はわずかなので、非常にシンプルに考えることが出来ます。
変動費のことをあまり考えなくていいので、損益分岐点が分かりやすいのです。
固定費は最初から分かっているので「いかに早く固定費を上回る売上を上げるか」がポイントになってきます。
仮に12月決算だとして、6月に損益分岐点を超えたなら、あとはすべて利益ということになります。