プロのための任売市場

今回はちょっと専門的な話になってしまいます。

不動産仲介業では「受託」が最も大事と言えます。
「客付け」ばかりで動いていると効率が悪く、うまくいっても「片手」だけで「両直」とはいきません。
一方「専任」だと「両直」の割合が格段に高まり、またどの業者付けであっても、必ず契約に絡む(からむ)ことができるわけです。

競売や任売(にんばい)から受託を取ろうとする仲介業者の動きもあります。
たしかに競売や任売は、受託の有力な手段の一つと言えそうです。
ただし一般仲介以上に深い知識と経験が要求され、特に任売を扱えるのはプロ中のプロとも言えるのではないでしょうか。
私自身は「競売・任売」の市場に手を広げるつもりは今のところ全くないのですが、先日からなぜか「競売・任売」に関するセミナーを立て続けに受ける機会がありました。

住宅ローン破たんに陥った時、任売は競売よりも有利に売却できることが多いようです。
うまく契約・決済まで漕ぎつければ「債権者・債務者・仲介者」の三方すべてよしという結果になります。
金融円滑化法が来年3月に切れ、競売や任売が一挙に増えることが考えられます。
金融機関は今お金が余っており、引当金もシッカリ積むことができ、金融機関にとっての不良債権はどんどん手離れさせていくことが予想されます。

住宅ローン破たんにはどういう原因が考えられるかと言えば、倒産・リストラ・収入減少・病気・事故・離婚などがあります。
当初から無理な資金計画の場合も、途中で予想外の横波が来た時に引っくり返ってしまう恐れが高いと言えるでしょう。
また「ゆとりローン」の場合、ステップアップで支払えなくなるケースも考えられます。

マイホームの住宅だけでなく、個人投資家などが賃貸運営をしようとして失敗した場合や、当初から逆ザヤの収益物件の場合もローン破たんのリスクが考えられます。
連帯保証人になって債務保証をした場合も、本人は悪くなくてもローン破たんのケースがあります。
ギャンブル等の浪費の場合は任売は無理で、ほとんど競売へ直行するようです。

任売の場合、競売よりも高く売れることが多いというメリットがあります。
また競売だと買い手に住宅ローンはつきませんが、任売だとO.K.になることが少なくありません。
また任売の方が競売よりも時間的に早く処理することが出来ます。
任売は債権者と債務者の両方に協力してもらわないと前に進みません。
仲介業者の相当高いスキルが不可欠です。
金融機関も信頼できる仲介業者にしか案件を依頼しないことは間違いがありません。