1年前の金融危機の過程

1989年を頂点としたバブル崩壊後、日本は「失われた10年」を経験し、塗炭の苦しみを味わいました。
一方、アメリカやヨーロッパは好景気を謳歌し、一人日本はカヤの外でありました。
しかしながら今回のサブプライムから始まる金融危機では、日本は「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」が功を奏し、本当に何が幸いするか分からないものです。

日本でもファンドを中心とした「ミニバブル」が、首都圏中心に起こっていたのですが、このバブルは実は2006年の時点で、既に崩れかかっていたのです。
たぶん米国でも欧州でも同じで、2006年の夏頃には「あれっ?ちょっと変な感じがする」とバブル崩壊の予兆に気付き出した人がいたに違いありません。
サブプライム問題」という言葉がボチボチ出だしたのは、2007年の夏ごろです。
不動産バブルが崩壊しなければ「サブプライム問題」も起こりようがないので、半年ぐらいかけてバブル崩壊が顕在化したということなのでしょう。

2007年7月、投資銀行ベア・スターンズ社の傘下のヘッジ・ファンドが、サブプライム証券化商品への投資の焦げ付きが原因で破たん。
破たん第1号です。
続く8月にはフランスの大手銀行のBNPパリバ社が、同じ原因で資金繰りに窮し、顧客からの投資解約に応じられなくなりました。
9月にはイギリスの地方銀行である「ノーザン・ロック」がサブプライム投資で大損失を出し、取り付け騒ぎまで起こりました。
私はBBCのウェブ・ニュースを読んで知ったのですが、この時代に先進国で取り付け騒ぎが起こったことに驚いた覚えがあります。

2008年3月、今度はベア・スターンズ社自身が経営危機に陥りました。
これはJPモルガン・チェースによって救済。
そうこうしているうちに9月になると住宅ローンの保証会社である「ファニーメイ」と「フレディマック」が倒産寸前であることが発覚。
両社は国有化され、一応救済。

2009年9月15日にリーマン・ブラザーズが破たん。
アメリカの中央銀行に当たるFRBがリーマンを救済すると思いきや、そうでなかったことに、世界中の株価が大幅下落。
この辺から世界経済は「大恐慌の再来」に戦々恐々となるわけです。