観光を考える その1

私は海外へよく行くのですが、時々とても魅力のある街を見かけます。
単に観光地としてだけではなく「こんな街に住みたいな」と思う所も少なくありません。
観光を絡(から)めた街づくりというのが、今後は大切になってくるのではないかと、最近頓(とみ)に感じます。
街の活性化の一つの方向ではないでしょう。

「エルダーホステル」というのがあります。
ユースホステル」が若者向けの宿泊施設なら「エルダーホステル」はシニア向け。
これは1975年にアメリカのニューハンプシャーの5つの大学の寮を、シニア向けに1週間開放したことが始まりです。
生涯教育の一環でもありました。

元気で好奇心の強いシニアが対象だったのですが、最初は大学で、後に地域での受け入れが始まりました。
「着地型観光」の原型でもあります。
今までの旅行は、旅行会社が国内観光の「アゴ・アシ・マクラ」をパッケージにして、顧客を募集してきました。
「発地型旅行」は旅行会社が主体のツアーとも言えます。

バブル崩壊以降、観光客はマイナス40%〜50%の減少のまま、回復せずに今日まで来ています。
団体旅行がなくなったのです。
旅行は「十人十色」から「一人十色」に変わり、お仕着せのパッケージプランではお客さんを呼べなくなりました。

また個人がインターネットで簡単に情報が入手できるようになったのも大きな変化です。
下手すると旅行会社の社員よりもお客さんの方が、旅の情報をよく知っている場合すらあります。

「発地型」は地域の住民が主体となって、観光客を迎える旅行形態です。
いわば「行こうよ」型から「おいでよ」型へ。
何の魅力を持って「おいでよ」と言えるようにするのかは、まさに知恵の出しどころでもあります。