中国を見る その6

中国の地下鉄はすべて赤字だし、新幹線もガラガラの状態で走っています。
なのに今後もまだまだ作る気十分。
普通の経済法則で言うならば、経営を無視した投資は許されるはずがないのですが、延々と投資していかないと中国経済が回らないという側面もあるのだと思います。

GDPは「個人消費」と「設備投資」と「政府支出」と「輸出」(マイナス「輸入」)から成り立つのですが、中国の「個人消費」は4割を切っています。
ちなみにアメリカは7割、日本は6割です。
「設備投資」は過剰投資による不良在庫化のリスク大。
「政府支出」もインフレ懸念のためカット。
「輸出」はもとより大幅に少なくなっています。
そうすると世界第2位と称しているGDPを支えるものがなくなるのです。

中国の場合「職」を失うことは「食」を失うことに即つながります。
食えなくなった農民が、時の政権を倒してきたのが中国の歴史。
経済的な問題が政治的な問題にスリ変わり、下手すると暴動にまで発展するのが、ほかの先進国にはない中国のリスク。
チベットウイグルの民族問題や、国内の民主化問題もあり、経済的な不具合が国家体制の崩壊につながりかねない危うさがあります。
それを今までは経済成長が覆い隠してきたのです。

中国は現在共産国家ですが、その本質は「官僚専制国家」。
この体質は中国4千年の歴史において、全く変わっていないように思うのです。
「上に政策あれば、下に対策あり」と言われ、国からの様々な圧力に対し、国民はいかにそれらを上手く避けていくかを考える図式が成り立っているのです。

身内以外は他人であり、基本的には気を許さないというのが中国社会。
特に文化大革命は、中国の人々の心を随分荒(すさ)ませ、今なおその悪影響が中国社会に尾を引いているようです。
中国のデータがデタラメで信用できないというのも、他人に対して「平気でウソをいう」や「何倍も大げさに言う」の精神が根底にあるからだという気がするのです。